中国ではこのほど、『繁花』というテレビドラマが広く注目されています。このドラマは、20世紀90年代の上海を舞台にしており、当時の上海で普通の男女が時代の大潮流に巻き込まれ、生活と運命を改善する夢を追いかけ、商業界に身を投じ、奮闘し、そこから生じる生々しい物語を描いています。

 1992年初めに鄧小平が行った「南巡講話」の後、中国では「改革開放」の新たな波が起こりました。ドラマの舞台である上海もこの時代背景の中にあります。当時の上海は活気に満ち、機会に恵まれていました。ドラマでは、ストーリーが百転千回し、非常に魅力的で、多くの背景設定も非常にリアルです。

 ドラマの中で、黄河路は重要な場所の一つで、ここは飲食店が林立し、贅沢の極みを尽くしています。上海で育てられたネットユーザーは、「「当時の黄河路はドラマの中と同じくらい賑やかで、家族がよく夜食を食べに連れて行ってくれ、夜中の2、3時までも、まだ明るく賑やかでした。忙しい時間帯は、車が黄河路に入ることができませんでした」とコメントしました。

 また、ドラマのあるキャラクターは自分のブランドを持って上海でビジネスを始め、その後大金を稼ぎました。多くの上海のネットユーザーは、「非常にリアルです。当時、周辺都市のアパレル製造業が非常にうまくいっていましたが、販売先がなく、上海に進出したいと考えていた人が多く、多くの服の製造業者が当時大金を稼ぎました」とコメントしました。

 人々が当時の上海の繁栄を懐かしむ中、一部のネットユーザーが現在の上海の状況を惜しみ、上海が衰退しつつあることを嘆いています。

 新型コロナウイルスのパンデミックが発生した際、中国政府は厳しい「ゼロ・コロナ」政策を採用しました。中国で最も経済が発展した上海もこの政策を免れず、約3ヶ月間の都市封鎖を余儀なくされました。経済活動が常に不安定な状態にあるため、多くの外資が撤退しました。

 さらに、中国政府がますます強硬になった外交政策と、昨年7月1日に施行された「反スパイ法」により、上海および中国全土の外国人は不安に感じており、多くの外国人が中国を離れました。

 外資の大量撤退により、多くの高品質な仕事がなくなり、かつて人材を強く引きつけていた上海の魅力が薄れました。2023年下半期から2024年の旧正月にかけて、多くの出稼ぎ労働者は仕事が見つからずに、故郷に戻ることになりました。最近、上海の地元のネットユーザーが投稿した動画では、かつて混雑していた上海の地下鉄がガラガラになっている様子が映し出されました。

 上海を離れた労働者の中には、「上海で仕事が見つからず、今回帰省した後はもう戻りません」と言う人も少なくありません。

 ガラガラになっている上海と、経済の下降傾向に直面して、多くの上海市民は、「ドラマで描かれた30年前の上海は繁栄していました。しかし、今の上海を見ると、依然として中国で最も経済発展した都市であるにもかかわらず、徐々に衰退しているのを感じられ、本当に心が痛いです」とコメントしました。

(編集・翻訳・吉原木子)