中国のネット上では最近、「四不青年」という言葉が流行しています。この言葉は現代の若者と彼らの生活状態を表しています。ある分析では、この言葉が出現した背景には、中国共産党の統治の下で、中国社会が二極化し、高官や富裕層、エリートなどの階層が世襲化し、多くのコネを持たない若者たちが自分の努力だけで人生を変えられない状態がもたらしたものだと言っています。

 「四不」とは、恋愛せず、結婚せず、家を買わない、子供を作らないことを指します。中国の都会で働く若者は、激しい競争に加えて、長時間労働で賃金が低く、経済的な余裕がないために消費せず、友人と遊ばず、社会活動もなく、結婚や子供、住宅購入などの計画を立てる気持ちがありません。

 中国の5月の16歳から24歳の都市青年の失業率は過去最高の20.8%に達し、5人に一人が失業しているのに等しい状況です。これにより、若者たちは将来への不安を抱えています。

 市政府の高官の息子である王さんはこのほど、中国の若者たちの現状について自身の見解を述べました。

 王さん(男性)は数年前に中国の北京大学を卒業しました。父親が市政府の役人であるため、卒業後は金融関連の会社にすぐに就職し、さらに両親が家を購入してくれたため、一般的な若者が抱えるような生活のプレッシャーを感じることがありませんでした。彼自身は多くの同世代の若者たちが抱える苦境について直接的な経験がないと話しました。

 王さんは身の回りの同世代の人々の状況から社会の現状を知ることができました。彼は、「もし両親が裕福でなく、政府のコネがなければ、良い仕事を見つけるのは難しい。家の購入、結婚、子供を持とうと思えば、重い経済的負担を背負わなければならない。その負担は一般家庭の若者にとって、耐え難いことだ。だから、彼らが結婚もせず、子供も持たず、家も買わずにタンピン(寝そべり)するのも理解できる」と述べました。

 数日前、中国共産主義青年団(共青団)広州市委員会が発表した文書がネットで拡散され、広州市で「四不青年」現象が増えていると指摘しました。若者たちが中国国内の無限の激しい内部競争を表す言葉「内巻」や、さまざまな社会的圧力から生じる「タンピン(躺平)」などの言葉に続いて、「四不青年」という言葉がネット上で話題となり、新しい流行語となっていると、同文書が指摘しました。
王さんは、「四不青年」という現象について、次のように語りました。

 「私たちの世代のほとんどは一人っ子であり、確かに以前の多子世帯の世代よりも家族からの愛情をより多く受けている。学生時代は辛抱して勉強し、優秀な大学に入れば将来は良い仕事に就けるという考えを植え付けらえていた。そのため、詰め込み教育の下で、幸せな子供時代も健康も犠牲にした。私を含め、多くの若者が近視で、健康状態もあまり良くない。辛い思いをしなかったとは言えない。しかし、卒業後、私たちの世代の多くが仕事を見つけることが非常に難しく、たとえ仕事が見つかったとしても、収入は低く、労働者の権益も保障されていないことに気づくことになる。良い仕事を見つけるためには、あらゆる手段を使わなければならず、家族の人脈やコネを使って激しく競争をしなければならない。これは、私たちがこれまでに受けた教育や、持っている考えとは大きく反対するものだ。私のような人は、これらの現象を比較的受け入れやすい。一つは、私の家はより裕福で比較的良い暮らしをしている。もう一つは、私は勉強以外の余暇時間に時事問題について学んでおり、当局が宣伝と実際の事実と異なることを知っていたからだ」

 王さんはさらに次のように分析しました。一般家庭の若者は、大学を卒業するまで現実社会の生活に触れることがなく、常に中国共産党の洗脳宣伝に浸っているため、社会に出ると、そのギャップにすぐに適応できず、厳しい状況に直面することになります。彼らの多くは大学を卒業すれば、天の寵児になれると思っています。また、国は豊かで人々は強く、社会は公平だと思っていましたが、いざ社会に入るとまったくそうではないことがわかり、心の落差は非常に大きくなるでしょう。

 「これらの人々は、政府のフィルタリングされていない情報に触れることができず、思考力や判断力が足りない場合、消極的に世の中を避けるか、完全にタンピンすることになる。あるいは、一部の人々は自分が唯一接触できる中国共産党の極左主義的な思想に基づいた毛沢東主義的な左翼になる者もいるだろう」

 中国の公式メディアは最近、若者たちが苦しみに耐えられないと批判し、青年たちに正しい就業観を持つよう要求し、必要とされる場所に行くよう促す記事を掲載しました。しかし、この記事はネット上で十数万件のコメントが寄せられ、嘲笑が殺到しました。

 中国の公式メディアは今、若者たちが苦に耐えられないと批判し、地方へ行って自己を鍛えるよう要求していますが、それは実際にはただの大言壮語(たいげんそうご)で、空虚な話だと、王さんが述べました。

 彼はまた、無意味な苦しみを耐える必要はないと述べ、今の中国社会の現実は、経済不況であり、良い就職先はほとんどないと指摘しました。「多くの大学生が大学院に進学したり、公務員試験を受けたり、または条件は低いが待遇が悪く、労働者の権益が保障されていないつらい仕事を見つけてそれに耐えるしかない。これらは本当につらいことだが、実際的な意義がなく、投資と成果のバランスが著しく失調している」

 王さんは嘆きながら次のように述べました。「年配の世代は、より多くの苦難を経験し、理不尽な取り扱いや要求に逆らわず従うことに慣れてしまっている。しかし、改革開放後に詰め込み教育を長期的に受けてきた一人っ子である若い世代は、年配の世代と同じように逆境に従順になることはなく、より強い個性を持っている。しかし、それは現実と衝突することになる。そして、このような衝突の中での無力感は、多くの人がタンピンを選択することにつながるだろう」

 王さんは、若い世代が結婚を躊躇しているもう一つの理由を説明しました。「中国当局は以前、離婚を防ぐために協議離婚冷静期を導入した。当時、社会では反対意見が多かったにもかかわらず、それは強行的に採決させられた。これも多くの若者が結婚を躊躇する要因となった。結婚相手に家庭内暴力や問題のある嗜好があるような場合、この政策のために離婚が難しくなる恐れがあるからだ」

 しかし、王さんはタンピンや子孫を絶やすことよりも積極的な行動で世界を変える方法があると考えています。「タンピンや子孫を絶やすことは効果的な抵抗方法ではなく、現実を変えるのは難しい。本当に意義のあることは、行動を起こして何かを成し遂げることだ」

 王さんは例を挙げて次のように語りました。「現在の若い世代はタンピン、不満を抱えており、非常に消極的であるように見えるが、本当に追い詰められた時には爆発的に力を発揮する。以前の江蘇省や浙江省の独立系大学を職業専門学校に転換する計画に反対する学生運動や、昨年末の白紙革命がその例だ」

 「だから、現実は厳しいかもしれないが、私は絶望していない。なぜなら、未来は結局、若い世代のものだからだ。私は中国が変化する日を見ることができるはずだ」

 在米の中国時事評論家、唐靖遠氏は4月にラジオ・フリー・アジアとのインタビューで、「『四不青年』現象の根本的な原因は、やはり中国の政治体制にある。中国共産党が体制全体を中央集権化にしたため、二極分化を激化させている。更に社会階層をかつてないほど固定化させている。つまり、富裕層、権力者、官吏、エリートの世襲化が進んだ結果、大量のコネのない若者が自分の努力で全く自分の人生を変えることができず、社会階層の上昇や変化を実現できないという状況が生じた。そのため、奮闘しようがしないでいようが何も変わらず同じだという心理状態を生み出した」と語りました。

(翻訳・藍彧)