経済関係のメディアや中国当局が発表した最新のデータによると、中国の経済は持続的な低迷を示しています。そのため、今年帰省した多くの海外華人は、中国の現状に驚愕しています。彼らは以前に想像していた中国とはまったく異なる状況に直面していると言われています。

メディアや公式の経済データ

 北京に拠点を置く中国のニュースWebサイト「財新メディア」と調査会社Markit(マークイット)が公表したデータによると、6月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.5に低下し、基準値を上回ってはいますが、長期の平均値を下回っています。この情報は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙7月3日の記事で分かりました。

 また、中国当局が発表した前回のPMIデータはさらに悪かったのです。中国国家統計局が6月30日に発表した6月のPMIは49.0で、前月より0.2ポイント上昇しましたが、市場予想に届かず、3ヶ月連続で低下しました。また、サービス業を含む非製造業のPMIはプラス圏で発表されたが、5月の54.5から6月の53.2に下落し、中国の経済回復はまだ低調であることが示されています。

 ラジオ・フリー・アジアは最近、親族を訪ねて今年帰国し、現在カナダ、南アフリカ、アメリカなどの国に住んでいる数人の中国人をインタビューしました。彼らは一様に、中国の現状が以前想像していたものとは大きく異なっていると語りました。

劉海洋さんの帰国談

 記事によると、劉海洋さん(男性)は河北省廊坊市(ろうぼうし)出身で、現在カナダに在住しており、もうすぐ30歳になる青年です。彼は去年11月から今年1月にかけて帰国し、中国で3か月以上を過ごしました。劉さんにとっては3年以上ぶりの帰国であり、中国の不況が最も印象的でした。「当時、厳しいゼロコロナ対策が行われていて、中国の経済はかなり低迷していると感じた。マッサージ店や理髪店など、多くの店舗が閉店した。その後、2022年12月に中国全土でオミクロン変異株が広まった後、中国はゼロコロナ対策を全面的に解除した。しかし、解除された後も経済はすぐに回復せず、むしろ低迷しているように感じた」

 劉さんの多くの友人が北京で働いているため、中国当局のゼロコロナ対策が緩和された後、彼は北京を訪れました。「北京の王府井(ワンフーチン)や三里屯(サンリトン)などの最も賑やかな場所も非常に不況で、人もほとんどいなかった」

 劉さんはまた、今回の帰国で不況を感じただけでなく、中国社会の人間関係が非常に敵対的になっていることを感じたと述べました。コロナ前は中国のデリバリースタッフは非常に親切だったが、現在は大きく異なっていると彼が述べました。「特にサービス業のデリバリースタッフは、注文が届いた後に電話をかけてくるが、『出てこい、取りに来い、配達が来ているのだ、早く出てこい』と非常に失礼な言葉遣いをする!彼らはとても怒っているような態度であり、敵意を強く感じた。私は彼らと口論する勇気もなかった。なぜなら、彼らと口論すればナイフを取り出されて刺されるのではないかととても怖かった」

 劉さんは、今回の帰国の旅で、カナダでの将来の発展を決意しました。「これまでの3年間、ネット上で中国の厳しいロックダウンや様々な問題を目にしてきたが、私はずっと、コロナが終息すれば中国の経済は回復し、すべてが改善されると思っていた。しかし、中国のゼロコロナ対策が解除された後の実際の現状を目に当たりにしたとき、中国の経済状況が回復しておらず、仕事を見つけるのも難しく、社会全体が非常に敵対的になっていることを感じた。以前の記憶とは異なり、とても居心地の良い状況とは思えなかった。だから私は中国ではなく、海外での発展を決意した」

謝凡飛さんの帰国談

 北京出身で、南アフリカのリンポポ州で鉱業関係の仕事に従事している40代の謝凡飛さん(男性)は、今年3月から4月にかけて中国に帰国し、5週間を過ごしました。それまでに7年間も中国に帰らなかった謝さんにとって、最も不快だったのは大気汚染でした。「今、中国に戻ると慣れなくなったのだ。汚染された空気を吸うと呼吸が辛くて、2週間に1度は風邪を引いていた。こんな場所にはもういられない。環境が悪くて人も多いのだ」

 謝さんは今回の帰国中に2回もインフルエンザにかかったと述べました。

 この帰国の旅を通じて、謝さんは将来の計画についても決意を固めました。彼は次のように述べました。「考えた結果、中国での生活や長期滞在をしないことを決意した。ご存じの通り、現在の国内は非常に競争が激しく、雇用の圧力が大きく、経済もあまり好調ではない。経済成長も遅い。私たち移住者や海外派遣された人々が、経済的には中国国内よりも収益が見込めるため、海外は国内よりまし」。謝さんは将来的にはヨーロッパで老後を過ごす予定だと述べました。

梁さんの帰国談

 広東省出身の30代の梁さん(女性)は、昨年アメリカのカリフォルニア州に留学するために渡米しました。来年は帰国して親族を訪ねる予定ですが、いくつかの懸念を抱いています。「コロナが発生した後、昨年の中国のロックダウンはとても怖かった。もし帰国すると、政府が何かしらの制約を再び設けてしまい、出国ができなくなるかもしれない」

 梁さんは現在、両親の観光ビザを申請中で、アメリカの状況を実際に来て見てほしいと望んでいます。「中国国内のニュースでは常にアメリカが危険で乱れていると報じているため、両親はとても心配で、私がアメリカに滞在するのは危険だと思っている。しかし、実際に私のここでの生活は平穏であることを、両親に話しても心配を取り除くことはできないから、実際に来てもらうことが必要だ」

 梁さんは、将来中国に戻るかどうかは未知数ですが、アメリカに残る道を探す考えが強くなってきていると述べました。「ここ(アメリカ)では自然環境が良いし、人々の労働強度も国内のように大きくないし、失業率も国内のように深刻ではない」

 現在、中国公式が発表した若者の失業率は20.8%に達しています。ゼロコロナ解除後の中国の景気回復が停滞する中、最近中国のネット上で「35歳の呪い」という言葉が流行っています。30代の多くの人々が失業、未婚、子なしという複数の打撃に直面しているということです。就職難に関する「35歳の呪い」や「スターバックスに中年の失業者が溢れている」といった話題が盛り上がり、中年の失業問題の深刻さが浮き彫りになっています。

学者の心配事

 米国在住のエコノミストである李恒青氏は、大紀元とのインタビューで、自分は文化大革命時代に生まれ、中国の第一次および第二次の失業の波を経験したが、今回の大規模な失業は前の2回とは異なり、全体的な状況がますます悪化していると述べました。李氏が最も心配しているのは、今の若い世代が将来への希望を失ってしまうことだと語りました。

(翻訳・藍彧)