中国深セン市にあるカルフール(中国語名は「家楽福」)の1号店舗が、6月10日に閉店しました。この店舗は27年前に中国・深セン市でオープンしたカルフールの最初の店舗であり、中国全土で2番目の店舗でした。

 カルフールは、グローバルに事業展開している小売業大手として初めて中国に進出し、大型店舗をモデルとした10数年間の取り組みを通じて、中国のスーパーマーケットチェーンの上位3社にも数えられました。カルフールは中国での知名度が高く、とくに上海や北京などの都市部では知らない者はいないほどです。

 近年、カルフールは中国での店舗を相次いで閉店し、今年の第1四半期には33店舗を閉店しました。

 今年5月には、中国本土で初めての会員制店舗である上海成山路店も突然閉店を発表しました。

 また、広州市のカルフール百信広場店も、店舗の賃料未払い問題により、物件所有者から即座に退去を求められました。

 中国紙「21世紀ビジネス・ヘラルド」の報道によると、6月9日はカルフール深セン南頭店の営業最終日で、店舗の入り口などに閉店のお知らせが張り紙されています。「27年間にわたり、カルフール南頭店をご愛顧いただき、誠に心から感謝いたします!この度、経営不振により、2023年6月10日をもって、カルフール南頭店を閉店することになりましたので、お知らせいたします」

 広東のメディア大手「南方都市報」によると、今年65歳で定年退職した張さん(女性)は、深セン市南頭地区に30年以上住んでおり、カルフール開店当時の様子を鮮明に覚えているといいます。「当時は、海外からの大型スーパーマーケットということで、多くの輸入品を購入することができた。年中行事や祝日には割引セールもあり、とても賑わっていた」。しかし、時の流れとともに、張さんはカルフールの店舗が次々と閉店していくのを目の当たりにしてきました。

 6月9日の午前、カルフール南頭店では、張さんを含むわずか数人の消費者が買い物をしている状況でした。店内のほとんどの棚はすでに空になり、棚の商品を梱包して片付けている店員もいます。生鮮食品は一切売られておらず、選べる商品はほとんど日用雑貨しかありません。
カルフール深セン南頭店の閉店について、多くのネットユーザーからは、「これでまた一つショッピングモールが減ってしまった」「(カラフールは)2000年代のスーパーマーケットの代名詞でした」といった声が寄せられています。

 今年5月、カルフールは中国本土で初めての会員制店舗である上海成山路店が突然の閉店を発表しました。この店舗は2021年10月に正式にオープンし、まだ2年足らずで閉店となりました。同店の閉店後、上海におけるカルフールの会員制店舗は残り2店舗となります。

 同じく5月、カルフール広州百信広場店は店舗の賃料などの滞納により、物件所有者から即時退去を求められました。カルフール百信広場店は、賃料の滞納が確かにあったが、段階的に返済を進めており、百信広場店の閉店意向はまったくなく、商業施設との専用リース契約も2032年に満了する予定であると述べました。

 現在、カルフールは広州市において2店舗のみが残っています。

 カルフールは中国での最盛期には、合計321店舗を展開し、売上高は498億元(約9700億円)に達しました。その店舗数、単店舗の業績、売上高などは、ライバルであるウォルマートを一時的に上回っていました。

 2019年6月末に中国の小売大手である蘇寧易購が、48億元(約926億円)でカルフール中国の株式80%を買収し、2年後には無条件で固定価格により残りの20%分も手に入れることになりました。これによりカルフールの経営再建は蘇寧易購の創業者である張近東氏に委ねられることになりました。ところがまた、蘇寧易購も事業の悪化や流動性の問題でスパイラルに陥り、カルフールの苦境を救うに至っていません。わずか4年足らずで、カラフール中国は半数以上の店舗を閉店しました。

 2023年第1四半期の蘇寧易購(スーニン・コム)の財務報告によると、2023年3月末時点で、カルフール中国(カルフール・チャイナ)は114店舗にまで減少しました。今年の1月から3月にかけて、カルフール中国は33店舗を閉店し、昨年は58店舗を閉店しました。

 最近、深セン証券取引所は、蘇寧易購の2022年年次報告書に関する質問状を発行し、その中で事業の継続性、カラフールの資産減損、営業活動からのキャッシュフロー、債務不履行など、多くの問題について追及しています。

 カラフールが中国でかつての栄光を取り戻せないのは、実は伝統的小売業の巨人が敗退する縮図です。その衰退には多くの要因がありますが、いずれも中国の経済全体の不況と密接に関連しています。

(翻訳・藍彧)