中華民国(台湾)の李喜明(リー・シーミン)元参謀総長(Public copyright licenses From Wikimedia Commons)

 中国共産党が2027年までに台湾侵攻を準備しているという情報に対し、中華民国(台湾)の李喜明(リー・シーミン)元参謀総長は5日、中央研究院(中華民国の最高学術研究機関)の朱敬一学者(フェロー)との対談で、台湾は民主主義のために戦うべきであると述べました。

 中央通訊社によると、昨年「台湾の勝算」という本を出版して注目を集めた著者の李喜明氏は5日、台北国際ブックフェア(台北国際書展)に参加し、中央研究院の朱敬一学者と「台湾海峡安全保障の鍵となる戦略的思考」をテーマに対談を行ったといいます。

 中国共産党の台湾侵攻の可能性について、李氏は政治と軍事は人間の本性に他ならず、中国共産党の権力者習近平氏の第一目標は自分の権力の維持であり、次に中国共産党独裁の維持、そして最後にいわゆる「中国の夢」の実現だと分析しました。中国国民は中国共産党政権を危険にさらさせるという弱点を把握することで、習近平氏に、台湾侵略が面倒で自分の失脚を招きかねないかもしれないと認識させ、引き合わないと考えれば、軽率に行動できないでしょう。

 李氏は、中国共産党の急所は中国国民にあると指摘しました。そのため、李氏はこれまで、中国共産党と中国国民を区別して、中国国民に「問題は彼ら(中国国民)ではない、悪いのは中国共産党だ」と政治家らに言ってきました。

 中国共産党の軍事的脅威とは別に、台湾に対する認知戦も注目・懸念されています。

 国立台北大学犯罪学研究所准教授の沈伯洋(ちん・はくよう)氏も同日、台北国際ブックフェアで講座を開き、中国共産党が各種ソーシャルメディアなどを通じて台湾に対して認知戦争を行っている方法について分析、論述しました。

 沈伯洋氏は、台湾で投票に行く有権者が高い割合でフェイスブックを利用しているため、中国共産党はフェイスブックを通じて台湾に対する認知作戦を行なっていると語りました。しかし、最近ではフェイスブックの厳しい検閲政策により、ユーチューブチャンネルへの移行が進んでいます。中国共産党は駆け出しのユーチューバーにお金を寄付し、ライブ放送のユーチューバーに「特定」の発言を話すことでお金が稼げると気づかせ、やがて中国共産党の立場へと言論を誘導してゆくことになるのです。

 また、中国共産党は若者に影響を与えるためには、キーオピニオンリーダーやインフルエンサーに頼って生放送をする必要があることに気づきました。

 中国共産党はこれまで、このようなやり方を新疆で行い、非常に成功し、東トルキスタンに関するほとんどすべての問題を中国共産党の望む方向に変えました。

 沈伯洋氏は、中国共産党にとって、平和協定を締結するか、台湾が自ら降参することが最も良いと考えており、最もコストがかからない方法でもあるとし、台湾の心の防衛が崩れたなら、多くの武器を使用する必要はないだろうと述べました。

(翻訳・藍彧)