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 各国の中国大使館はこのほど、中国人が帰国前に新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)の検査を受けなければならないという規則の緩和を突然発表した。

 5月19日まで、日本、米国、フランス、デンマーク、スペイン、韓国、タイ、ラオスなどの10以上の中国大使館は、中国人の帰国規則を緩和すると相次いで発表した。中でも血清抗体検査が不要になったこと、フライト出発7日前の最初のPCR検査が廃止になったことが最も明らかな変更点として挙げられた。

 中国大使館が突然、帰国前の検査手続きの簡略化を発表したことは、中国国内の強制的ゼロコロナ政策と矛盾している。中国共産党政権がゼロコロナを政治任務に引き上げた現在、このような矛盾は直ちに注目を集めている。

在日本中国大使館のお知らせ(在日本中国大使館ホームページのスクリーンショット)

 コメンテーターの徐傑氏はユーチューブの「徐傑慢半拍」チャンネルで、中国共産党が華僑を撤退させる準備をしているが、その対象はすべての中国人ではなく、中国共産党政権の関係者、「太子党(紅二代、紅三代)」であり、その理由は台湾海峡での戦争開始の準備であると分析した。

 徐氏によれば、この推論は、18日に米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)と中国の外交トップの楊潔篪(ようけつち)政治局委員の間で行われた電話会談で裏付けられたという。ボイス・オブ・アメリカの報道によると、今回の通話は突然行なわれたもので、ホワイトハウスは声明で、地域の安全保障問題と核不拡散に焦点を当てた議論を行ったと述べた。それはつまり、米政府が中国共産党に「台湾を侵攻するな、核戦争するな」という警告であった、と徐氏が考えている。しかし、楊氏は、中国側が主権と安全利益を守るために「断固として行動する」とし、「言うことは実行する」と強く反論した。

 また、楊氏とサリバン氏が合意に至らなかっただけでなく、中国の王毅外相も18日に林芳正外相とのオンライン会談で、日本側に対して「地域の平和と安定に着目し、慎重に行動しなければならない。他人のために火中の栗を拾い、自らの利益のために災いを人に押し付けるという誤った道を歩まないでほしい」と警告した。

 徐氏によると、中国共産党の対内統制がますます強化し、対外的に威嚇しており、これはいずれも戦争のシグナルであり、第20回全国代表大会の前に台湾侵攻する可能性があるという。

 中国共産党の軍事力は台湾海峡戦争を支えるには不十分だと考える専門家もいる。フランス紙「リベラシオン」18日の報道によると、フランス 戦略研究財団(FRS)アジア研究主任/上席研究員ヴァレリー・ニケ氏は、中国による台湾への武力攻撃は中国共産党政権の崩壊を引き起こす可能性があると述べた。

 最近、李克強氏と習近平氏の対立が勃発し、習氏の地位が低下し、ソフトクーデターまで起こるという噂が飛び交っている。同時に、中国経済は大不況の瀬戸際にあり、特に深刻な失業問題は社会不安を引き起こし、中国共産党政権を脅かす可能性がある。このような背景の下で、中国共産党が台湾に出兵することで内部対立を解決するのか、実に注目されるところである。

(翻訳・藍彧)