中国計画経済の時代(ネットより)

 4月10日、「中国共産党中央・国務院による全国統一大市場建設の加速化に関する意見」が公布された。中国を統一大市場にする意向を表明した。

 政府の介入を減らし、規制緩和を求める市場経済とは異なり、中国共産党(以下、中共)のこの意見書は政府の役割を繰り返し強調し、「政策の統一性を絶えず向上させる」「政府の監督効果を高める」必要があるとし、全国統一大市場を構築する必要性を強調している。

 中共の公式宣伝記事では、「市場経済の発展に有利なもう1つの重要な意見」と書かれていたが、記事が発表された翌日(11日)、市場の反応は正反対であった。11日の株式市場の終値まで、上海指数は2.61%安、深セン指数は3.67%安、GEM指数は4.2%安となり、2020年7月以来の安値を更新した。

 シドニー工科大学の中国専門家馮崇義氏は、西側諸国は自由資本主義であり、政府は社会と市場に奉仕していると指摘。しかし、今の中国は、党国資本主義、あるいは国家資本主義とも呼ばれ、国家が市場の上にあり、市場は党国に奉仕している。中共が統一大市場の設立を提案したのは、国際的危機と国内の経済的困難に直面したため、行政の力を強め、党国の行政力で市場をコントロールさせようとしているのである。

 米サウスカロライナ大学のエイケンビジネススクールの謝田教授は、中共当局が今、統一大市場を打ち出している理由には3つあると述べた。

 1つ目は、中共の地方財政と中央財政の赤字が深刻で、数千人もの民間企業を国有化すれば、多くの富を集められ、一部の財政の穴埋めができるということである。

 2つ目は、党内の権力闘争と関係がある。習近平氏は第20回共産党大会において、党内からの挑戦を受けているため、経済上では問題の発生を許せないのだ。統一大市場を構築することで反対勢力や、孫大午氏のように中共に楯突く民間の企業家を排除することができる。

 3つ目は、中共が実際に戦争の準備をしているからだ。統一購入・販売は、実際には軍事化、半軍事化のやり方である。国民の支出と消費を中共の手でコントロールすることで、台湾侵入後に制裁などを受けた場合、来るべき戦争危機への対処に役立つ。

 海外のソーシャルメディアでは、統一大市場を1953年から1958年までの公私合営、統一購入・販売、さらには大躍進と結びつけ、中共が国内の限られた物資をすべて管理し、中共の有力エリートへの供給を優先し、一般の人々は余剰分の中で再分配をすることになり、多くの一般の人々は食料や医薬品を十分に分けてもらえない、との意見がある。その結果、多くの一般人は十分な食料や医薬品を手に入れることができないために死亡することになる。

 中共は1953年に統一市場を導入し、1959年から1961年にかけて大飢饉が発生し、数千万人もの人々が不自然な死を遂げることになった。この飢饉は人類史上最大の飢饉と言われ、また、人類史上最悪の人災の1つとも言われている。

 そのため、中共は今回、再び統一大市場を打ち出し、また大飢饉を引き起こすではないかと懸念が広がっている。

(翻訳・藍彧)