戦争と食糧危機(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 ロシアとウクライナはともに世界の主要な食糧輸出国であるため、ロシア・ウクライナ戦争は世界的な食糧不足をもたらしている。この危機に対して、アメリカ、ロシア、中国は全く異なる対応をとっている。

 米ニュースメディア「ポリティコ」によると、ロシア軍は攻撃の焦点をウクライナの穀物生産地域に移しており、7月に収穫予定の数百万トンの穀物を危険にさらし、ウクライナが穀物とひまわり油の主要供給国の一つであるアフリカと中東の国々の食糧供給に脅威を与える可能性があるという。

 この危機は食糧価格の高騰を招く恐れがあり、国際連合世界食糧計画(WFP)などの人道支援組織がそれに対処することを困難する。同機関によると、過去最高の1億3700万人に今年の残りの時間内に食料を供給するためには、160億ドルの追加資金が必要だという。

 アフガニスタン、イエメンなどの国ではすでに深刻な食糧不足が発生している。また、レバノンの人口の4分の3が貧困状態にあり、戦前は食糧の8割がロシアとウクライナから輸入していた。

 米政府は現在、ウクライナ戦争による世界的な食糧不足を抑えようと努力している。米議会議員たちは、広範囲の食糧不足が国際政局の不安定を引き起こし、米国の国家安全保障を脅かす可能性があると懸念している。

 情報筋によると、米政府は今後数日のうちに、国際社会を支援するための食糧をさらに放出する予定だという。ホワイトハウスと国務省の担当者は、米国国際開発庁(USAID)およびWFPとともに、差し迫った国際的な食糧不足に対処している。

 先月末、バイデン氏はG7の首脳と会談した後、世界的な食糧不足を警告した。バイデン氏は、食糧の主要輸出国である米国とカナダが、より多くの食糧を海外に輸送する方法について議論していると述べた。

 しかし、昨年の記録的な干ばつにより、米国を含む世界の小麦の備蓄量は平年並みに減少している。同時に、燃料、肥料、種子などの価格上昇により、農作物の生産量の向上が限られ、ウクライナ危機による不足を埋めることができない。

 一部の米議員は、中国共産党がアフリカやアジアで政治的影響力を強めるために、その蓄えた穀物を利用するのではないかと懸念している。

 中国は2020年以降、各国から大量の食料を購入していると複数のメディアが報じた。2021年12月22日の日本経済新聞(中国版)の報道によると、中国の穀物備蓄量は2021年上半期に世界の備蓄量の半分以上に達したという。

 こんな食糧危機の時でも、中国は食糧を大量に輸入している。ロイター通信によると、ロシアとウクライナの戦争がウクライナの農産物の輸出に影響を及ぼしたため、中国は最近、米国から108.4万トンのトウモロコシを購入し、近年中国側が米国から購入した最大の農産物となった。中国が購入したトウモロコシや豚肉など一部の農産物は、米中貿易協定で定められた購入目標を数倍も超えている。

 ロシアが最近、農産物を「友好国」にしか輸出しないと脅したことで、一部の弱い国がロシアの侵略に対して沈黙する可能性がある。

 台湾の中央通訊社の報道によると、プーチン氏は最近、ロシアの農業に関する会議で、エネルギー価格の上昇と肥料不足で、西側諸国は物資を買うためにより多くの紙幣を増刷しなければならず、一部の貧困国も食糧不足に陥るだろうと述べた。

 プーチン氏は、「このような状況では、世界市場での肥料不足は避けられず、ロシアは海外の食糧供給について、特にロシアと敵対する国への輸出にもっと注意を払う必要がある」と述べた。

(翻訳・藍彧)