コロンビアマンモスの骸骨WolfmanSF, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons)

 米カリフォルニア州のモントレーベイ水族館研究所の研究チームは、2019年にカリフォルニア州の沖合185マイルのところ、海面下約1万フィート(3048メートル)の海底の山を探索中に、長さ3フィート(約91センチメートル)のマンモスの牙を発見した。10万年以上前のものと推定されている。

 同研究所の科学者によると、この長さ約1メートルの牙がコロンビアのマンモスから来ていて、若いメスのマンモスのものであると確認され、北米のこの地域で発見されたマンモスの牙としては最も保存状態の良いものである可能性があるとのこと。

 深海は化石の保存には適しているが、マンモスの化石が深海から見つかることはめったにない。「これまでにも海からマンモスの化石が採取されたことはあったが、深海にあるのは珍しい」とミシガン大学の古生物学者のダニエル・フィッシャー氏はプレスリリースで述べている。

 プレスリリースによると、この発見はモントレーベイ水族館研究所の科学者研究チームが2019年に行った深海探査の際になされたものである。

 遠隔操作の探査機を水深1万フィート前後の海底に沈めて調査していたところ、象の牙に似た奇妙な物体が沈んでいるのが研究者たちの目に入った。当時は一部しか採取できなかったが今年になって再調査が行われ、長さ3フィートもの標本全体を採取。

 その結果、牙の主は少なくとも10万年以上前のマンモスであることが判明した。

 だが、この発見は専門家にとっても完全に予想外だったようだ。そしてマンモスの牙が発見された場所もさることながら、その保存状態の良さも注目の的となっている。

 コロンビアマンモスが絶滅したのは、今から約11,500年前。科学者たちは、低温・高圧の環境などがマンモスの牙の保存に役立ったのではないかと推測している。

 フィッシャー氏は「今回の標本は深海で保存されていたが、これまでに見られたものとはほとんど異なる。牙が置かれていた環境は深海だったため、時間の経過に影響されることなく比較的無傷でいられたのだ」と説明した。 

 カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)古生物学研究所の首席研究員であるベス・シャピロ氏は、このようなサンプルが過去の動物とその生活環境を描く貴重な機会を提供していると指摘し、「北米大陸からのマンモスの遺骸は特に珍しく、この牙から採取されたDNAによってマンモスの謎に迫ることができると期待している」と語った。

(翻訳・藍彧)