NBAスター選手、エネス・カンターさんが日本時間11月30日(現地29日)にアメリカの市民権を取得し、名前を「エネス・カンター・フリーダム」に変更すると、「The Athletic」のシャムズ・シャラニア記者が第一報を報じた。

 なお、「カンター」はミドルネームとなり、自由を意味する「フリーダム」が新たな名字となる。

 トルコ出身のカンターさんは母国のレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領を、独裁政権を率いる「今世紀のヒットラー」と表現するなど、過去に何度も公の場でトルコ政府を批判。本人によれば2017年にはトルコのパスポートを失効させられている。

 中国の人権問題を声高に批判してきた彼が、生涯をかけて自由を追求することを反映するために、名字を「フリーダム」に変更するという。

 カンターさんは、中国共産党による人権侵害や、チベット、香港、台湾における自由のための戦いなど、地政学的な問題について最も率直に発言してきたNBA選手である。

 カンターさんは18日のツイートで、「王になるためには、道徳よりもお金が大事だ。このようなアスリートたちが、社会正義に特別な関心を持っているふりをしていることに、がっかりして嫌なのだ。しかし、大きなボスである「中国共産党」が「黙れ」と言えば、彼らは忠実にそれを実行する。自分が履いている靴が奴隷労働で作られたものかどうか、ちゃんと調べたのでしょうか?」と書いた。

 彼は、2022年の北京五輪に向け、国際オリンピック委員会(IOC)にこの計画を中止するよう呼びかけた。先週の「The Story」のインタビューで、彼は「お金やエンドースメント契約、所属するチームに何か言われるのを気にしすぎて、(中国共産党を批判する)言葉を発するのを恐れているアスリートや俳優、歌手やラッパーがたくさんいる」と語った。

 カンターさんが、「彼らは、お金ではなく、モラルや原則を守ることが大切だということを知るべきだ。その逆はありえない。人の命がかかっているのだから」と述べ、世界中の若者がスポーツ選手を慕っているので、選手が自分の行動を意識することはより重要だと強調した。

 カンターさんはFoxスニュースに対し、自由を求める道でも孤独を感じていると述べた。「確かに孤独を感じている。多くの人は、ビジネス面を気にしすぎている。しかし、私にとって人権が何よりも大切だ」

(翻訳・藍彧)