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 中国共産党(以下、中共)は、台湾を武力で威圧する一方で、偽情報(ディスインフォメーション)による妨害を続けている。台湾の学者たちは24日、「偽情報と国家安全保障フォーラム」で、中共の偽情報戦の戦術を分析し、その対策を議論した。

 台北大学犯罪学研究所の助教授である沈伯洋氏は、中共の攻撃方法には「1つは情報の流れ、1つは人の流れ、1つは金の流れ、という3つの方法がある。この3つの流れには、3つの異なる情報の供給方法がある」と指摘した。

 「情報の流れ」の攻撃は、中共が自国民を介して虚偽の情報を作成・発信することだと説明し、情報の流れにはまた3種類ある。1つは中共中央宣伝部や国務院台湾事務弁公室(国台弁)からのもので、外交レベルで対処でき、基本的には解決できるもの。2つは小粉紅(注)系のアドバイスの流れで、無視すればいいもの。3つは最も厄介なもの、つまりコンテンツファームである。いわゆる中央政府が指示した話題を、あらゆる陰謀論に変えてしまう商業メディアがあり、その小粉紅を使って大量に転送させる。このような情報の流れが量的に最も多いため、最も危険であると沈氏が指摘した。

 「金の流れ」の攻撃は、「その特徴は、金を使って情報を作り出すことである。情報の流れとの最大の違いは、その作成者や配信者が中国(中共)とはあまり関係がないことだ。中国(中共)はお金を使うことしか考えていない」と説明した。

 さらに、中共がお金を使う方法にも3つある。1つに海外のサプライヤー企業に直接投資すること、2つに芸能界などの無関係な産業に投資すること、3つに動画配信者などに寄付すること、例えば、インフルエンサーに寄付して中共のために発言するように誘導するなど。金の流れに対処するには、法治によって金銭の流れを透明化することだ。

 「人の流れ」の攻撃は、宗教団体やヤクザなどと接触し、偽情報を直接広める武器にそれらを変えること。この種のものは最も扱い難く、最も懸念しているものだ。すべての関係者がこれをもっと議論すべきだ。

 また、フォーラムに参加した台湾中央研究院の李徳財院士は次のように述べた。中共の台湾に対する認知戦(世論に働きかけ、政治指導者の決断を左右する)は年々エスカレートしており、台湾に対して「法律戦」「世論戦」「心理戦」の3つの戦争を展開している。その目的は4つある。1つ目は、台湾の無政府状態や政府の無能さのイメージを作ること。2つ目は、統一や独立の議題で台湾を攻撃すること。3つ目は、社会的な争いを引き起こすこと。4つ目は、台湾の外交を抑制すること。

 注:小粉紅(しょうふんこう、シャオフェンホン)とは、中国語では「ピンクちゃん」に等しく、「未熟な共産主義者」であるという意味で使われている。

(翻訳・徳永木里子)