(ツイッター動画のスクリーンショット)

 中国各地で、コメや野菜などの生活必需品を買いだめしようと、高齢者などがスーパーに殺到する騒ぎが起きた。きっかけは中国共産党(以下、中共)商務省が1日に発表した、緊急時に備えて家庭で生活必需品の備蓄を促す通知であった。この騒ぎを受けて、一度に300キロの米を買い求める人もいた。台湾の経済学者である呉嘉隆(ご・かりゅう)氏は、これは中共の経済的・政治的計算であり、中共が得られる利益が大きく分けて6つあると語った。

 ネットユーザーが投稿した写真には、江蘇省常州市天寧区の大型スーパーで、生活用品を買い求める人々で混雑している様子が写っている。ある人のカートには、麺類や野菜、食用油が山積みになっている。別の写真では、スーパーでレジを待つ人々の長蛇の列を作っている様子が写っている。

 江蘇省啓東市でも、買いだめする人が多く、多くのスーパーや店舗のレジに長蛇の列ができているという。啓東市のある大型スーパーのスタッフは、2日午後から米や麺などの商品を買い急ぐ客が絶えなかったと述べた。「現在、店頭に米や麺などの商品はあまり残っておらず、オンラインでの注文も殺到しており、スーパーの商品の補充が間に合わない」

 安徽省蚌埠市にある大手スーパーマーケットチェーンのスタッフによると、3日の朝に開店すると、多くの客が買い物に訪れた。客の数は普段よりかなり多くなり、販促活動の時と同じだったという。

 重慶市沙坪垻区(さへいはく)にある大型スーパーの従業員によると、2日午後から、買いだめする人々がスーパーに殺到し、米、食用油、豚肉、小麦粉などの商品は特に不足し、一時的に品切れになった商品もあったという。同スタッフによると、今回の買いだめブームは、主に商務省の関連通知を知った一部の人々が物資不足を過剰に心配したことが主な原因であり、新型コロナウイルスの流行とはあまり関係がないという。

 これに対して、台湾の経済学者である呉嘉隆氏は「希望之声」とのインタビューで、中共商務省は起こりうる緊急事態に対処するために、人々の生活に必要な物資を備蓄させることには、以下6つの経済効果が得られると述べた。

 一、食料をはじめとする人々の生活に必要な物資の買いだめを誘発する

 二、企業はこれを見て、民衆よりも先に買いだめをし、後で値上げできるようになる

 三、短期的には不足が見られ、その後価格が上昇し、さらに買いだめが発生することになる

 四、実は現在、中国は食料が不足しており、今回の買いだめを利用して、食料不足問題を隠すことができる。例えば、食料が買えないのは、他の人の買いだめより自分が遅れているからだと思う(真実は供給不足だとは思いつかないだろう)

 五、民衆のパニックと買いだめを利用して、国内需要を高めることができる。これは、台湾のように5倍券(注)を発行しなくても、バイデン氏のように経済再生プログラムを立ち上げなくても、景気を高める効果があるのと同じだ。

 六、まるで戦争に向けて動員・準備しているかのように聞こえるが、これは台湾やアメリカを怖がらせ、緊張させることにもなる。

 注:「五倍券」は、台湾当局が8月に発表した新型コロナウイルスで落ち込んだ消費の刺激策である。台湾全国民(永久居留権(永住権)を有する外国人や外国人配偶者らも含む)を対象に、5000台湾ドル(約2万円)分の振興券を配布するものである。

(翻訳・吉原木子)