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 中国浙江省寧波市にある韓国資本の造船所が突然閉鎖を発表し、造船所の土地を地元政府に引き渡した。この造船所は韓国の造船大手、サムスン重工業の全額出資子会社の「サムスン重工業寧波」である。26年の歴史を持つ造船所が突然閉鎖したのは、ここ数年の中国共産党の政策や行動にあると指摘する評論家もいる。

 聯合ニュースによると、「サムスン重工業寧波」は改革開放後に、北京当局が導入した最初の外資系造船所であり、サムスン重工業の中国における最初の造船所でもある。総投資額は2億5000万ドル(約284億円)である。

 近年の中国における労働コストの上昇や貿易環境の変化により、組立製造業における中国の優位性が急速に低下していると指摘するアナリストがいる。米中貿易戦争、新型コロナウイルスの流行、米中関係の悪化などにより、多国籍企業のリストラや産業チェーンの中国から世界各地への移転が加速している。近年、韓国のサムスングループは中国からの撤退が続いており、サムスン電子は2019年と2020年に中国でのスマートフォンやテレビの生産ラインを閉鎖した。

 また、業界関係者は、サムスン重工業とサムスン電子の中国からの撤退は性質が異なり、サムスン重工業の中国からの撤退は韓国に戻るものであり、最も重要な理由は、韓国の国家戦略における造船業の位置づけに関連するものであると述べた。

 サムスン重工業の撤退は、アジアの造船業界が大きな変革期を迎えている時期に当たる。負債の削減と国際競争力の向上のために、中国国務院は2019年10月25日に、中国造船集団と中国造船工業の合併計画を承認し、中国海運集団を設立した。その中で、韓国は造船業への投資が細分化され、中国が利益を得ることを望まない。

 一方、ソウル当局は現代重工業と大宇造船の合併を推進し、世界最大の造船所を作った。海運サービスのプロバイダーであるクラークソンズPLCが発表した世界の海運市場の評価によると、今年の下半期の造船受注量は、韓国が中国を上回る見込みである。

(翻訳・吉原木子)