ボストン(パブリック・ドメイン)

 中国人実業家の覃樹人(男性、45)被告は8日、米国のボストン連邦地裁から禁錮2年および罰金2万ドル(約220万円)の判決を言い渡された。覃被告は、中国共産党(以下、中共)の軍事大学の利益のために、対潜水艦戦で使われる水中聴音器を米国から中国の大学に違法に輸出したことを認めた。

 覃被告は、米国の永住権を持つ海洋生物学者であり、2005年に中国で海洋測器販売会社を設立。2014年に永住者として家族とともに米国に移住した。

 検察官によると、2015年から2016年にかけて、覃被告は米国のサプライヤーを騙し、輸出ライセンスを取得せずに、水中ドローン(無人機)プロジェクトに関わる中国の軍事研究機関である西北工業大学に、水中聴音器を輸出した。

 また、検察側は当初、同被告は無人水上艇(USV)やロボット船を違法に輸出したほか、中共政府が支配する団体に800万ドル(約8.8億円)の商品を提供した容疑で起訴した。検察官によると、彼のバイヤーは中共海軍の南海艦隊と海軍潜水艦学校を含むという。

 同被告が米国に起訴されたのは2018年、トランプ政権が中共による国家安全保障の脅威における懸念を強めていた時期であり、現在のバイデン政権も引き続きこの問題を重視している。

(翻訳・徳永木里子)