(イメージ:Pixhere CC0 1.0)

 10年程前の子どもたちの楽しみと言えば、友だちと野球をしたり、近所を自転車で走り回ったりすることだったでしょう。今日ではそれが、ベッドに背中を丸めて座り、一心不乱にビデオゲームや複数のソーシャルメディアアカウントをスクロールすることに変わってきています。行動学の専門家は、このような劇的な変化が、子どもたちの健全な精神の発達に深刻な悪影響を及ぼしていると指摘しています。

子どもの行動への影響

 最近、カナダのカルガリー大学の心理学者のグループが、デジタルスクリーンを見ている時間とそれが子どもたちに及ぼしている影響を数値化した研究結果を発表しました。この調査は5年にわたり、24・36・60ヶ月の各時点における基礎的な作業スキルを測定しました。

 研究によれば、「24ヵ月時点でスクリーンを見ている時間が長いほど、36ヵ月時点での発達テストの得点が低くなっており、同様に、36ヵ月時点でスクリーンを見ている時間が長いほど、60ヵ月時点での得点が低いという結果が出ました。

 創造的もしくは身体的な動きはなく、ただじっと座ってスクリーンに釘付けになっており、ランニングやウォーキングといった総体的な運動能力を養うための時間が損なわれています。このことが、子どもたちの発育を遅らせていると考えられます。

 「子どもの身体的、認知的発達を助ける多くのポジティブな刺激は、保護者とのやり取りから得られることが分かっています。子どもがスクリーンに向かっている間、大切な親子の交わりは無く、このことも子どもの発達を遅らせている、もしくは狂わせている要因であると言えます。」と、研究の執筆主幹であるシェリー・マディガン女史(Dr. Sheri Madigan)は述べています。(カルガリー大学)

使用時間を制限する

 長時間のスクリーン使用が、子どもの知能低下を引き起こす要因となりえることから、スマートフォンやコンピューターの使用を制限することが必要となってきます。子どもが、いつ、どの程度、デバイスを使用するかを明記した日程表を作ると良いでしょう。オンライン接続時間を1日30〜60分に制限し、2〜3セッションに分けることが最も望ましいと言えます。

 また、子どもがお気に入りのビデオコンテンツを数時間邪魔されずに視聴できる日を設けることもお勧めします。これによって、お気に入りの映画やテレビ番組の最新情報を得たいという子どもの欲求が満たされ、うまくバランスを保つことができます。ただし、好きなだけ視聴できる日は、週1日に制限してください。また、この時間を、子どもが独りで終日テレビを見るという孤立した時間にはせず、家族と一緒に視聴を楽しむ時間とすることが望ましいでしょう。

(翻訳・森園ゆみ)