北京大学の西門(Wei Ji Xiao Ba Wang/Wikimedia Commons)

 中国では厳しい情報統制がなされているが、時には生の声がインターネットの検閲を越え、中国の共産主義体制について率直な見解を提起することがある。

 新年早々、まさにそれをしたのが中国の有名大学・北京大学の社会学教授鄭也夫氏だ。同教授は、中国共産党に対し「歴史から去る」ことを求める記事をSNSに掲載したため、報復の危険性にさらされている。

「なぜ政治改革は達成するのが難しいのか」と題した記事で、鄭教授は、70年に及ぶ中国共産党の統治期間中、中国政府の政策は国民に利益をもたらさなかったと指摘した。

 鄭教授によれば、中国の国民と党の両方が恩恵を受けることができる唯一の方法は、中国共産党が「歴史から平和的に去っていく」ことだ。

「これこそ中国人、党、そして党の指導者たちにとって最善の前進である。これ以上の方法はない」と鄭教授は述べた。

 鄭教授は、政治改革の必要性について述べる中で、「中国社会における権力の濫用・法制度の不備・経済的な倦怠感などの問題は、もはや後戻りできない水準まで悪化している」と主張する。

 同教授はまた、中国の知識人たちに対し、共産党について真実を明らかにするという義務を果たすよう懇願した。
「…もしすべての知識人たちが良心に忠実であり続け、そして勇気をもって自身の心中を語ったならば、中国は今日のようになっていなかっただろう」

 多くの中国のネチズンは鄭教授のメッセージを支持している。あるコメンテーターは、ネット上にこう書き込んだ。
「現時点で鄭也夫教授が発言できる状態にあるということは本当に貴重です。中国共産党は歴史から去るべきという彼の呼びかけは、大きくはっきりと鳴り響いています」

 北京で活動する著名な人権活動家である向莉氏は、次のように述べた。
「これは中国の知識人による『2019年宣言』です。自由を守るため、共産党は政権を去るべきなのです」

ほとんどの知識人は共産党を支持していない

 アメリカに亡命した中国の民主主義活動家・王軍濤氏は、中国語版の大紀元紙に対し「知識人には社会に対する責任がある」と語った。

「鄭教授のような『発言する知識人』が少なすぎます。知識人たちは鄭教授のように中国の事情を語るべきです」
1989年の天安門広場での抗議行動に参加し、刑務所で3年間を過ごした王氏は、このように述べた。

 かつて北京大学の学生でもあった王氏は、こう続ける。
「多くの知識人は共産党を支持していませんが、それを公には表明しません。しかし個人的な場においては、中国共産党を支持する人など皆無です」

 北京大学の元経済学教授・夏業良氏は、「知識人たちは共産党が中国に改革をもたらすとは考えていない。また、共産党当局が変化を求める声に耳を傾けることはない」と指摘した。

知識人たちの反応

 SNS上で記事が投稿されてから約1週間で、鄭教授の発言は100人以上の学者やコメンテーターにシェアされた。これをきっかけに、ネット上では過去40年間に実施された中国の経済改革について、率直な意見交換が交わされた。

 中国の知識人たちは、1978年から始まった「開かれた経済政策」を評価し、そして「真の改革」とは何なのか、自身の見解を共有しあった。

 これらの記事は、検閲を受けて閲覧が不可能になるまでの間に、中国のネチズンの間で広く共有された。多くの知識人たちは言論と表現の自由、広範囲な経済自由化、そして自由選挙制度を要求したが、中には中国の改革の死を嘆く者もいた。

 同記事を投稿した知識人の一人であり、北京の学者である趙国軍氏は次のようにコメントした。
「中国の将来は、政府の力を制限し、強い市民社会を作れるかどうかにかかっている。国家改革は死んだ。これからは憲法による統治を始めるべきなのだ」

(翻訳・今野秀樹)