習近平総書記と李克強総理(パブリック・ドメイン)

 中国共産党(以下、中共)は来年、第20回党大会を開催する予定です。これを控え、習近平氏が再選され、党内の高層が再び大きく入れ替わるのではないかという噂が飛び交っています。そんな中、元英国外交官が描いた、李克強氏と汪洋氏が重要な役割を演じ、中南海(中国共産党の中枢)で習近平に対するクーデターが起きるという新著が注目を集めています。

 元在中国英国外交官のロジャー・ガーサイド氏はこのほど、新著『China Coup: The Great Leap to Freedom(和訳:中国のクーデター、自由への大飛躍)』を出版しました。同書の中で、ガーサイド氏は中共の現状を観察した上で、王岐山副主席、李克強首相、汪洋副首相の3人が「クーデターを起こして習近平政権を転覆し、その後、民主的な移行が開始する」という架空のストーリーを描いています。

 同書の一部を抜粋したものです。

 「『お互い知っている、米が炊かれてご飯になってしまった(事実になったという喩え)』と李克強氏が答えました。この慣用句が低い声で言い出されると、汪洋氏の耳には雷鳴のように響きました。『確かにそうだ』と汪洋氏は応えました。『米が炊かれてご飯になってしまった』という無関係のような言葉は、ここ数年間で築いた大胆な危機管理計画を実行するために、二人の間で取り決めた合言葉でした。中国の景気後退は、一連の根深い政治的、社会的、道徳的な問題に汚染された環境の中で起こっており、それらが相互に作用し、いつかは危機を引き起こすだろうと彼らは認識していました。彼らはとっくに、習氏を権力の座から追放しようと決心していました。習氏の政策は中国を行き詰まらせていますが、これはその窮状を打開するための方法となります。習氏の中国の夢は、覚めている悪夢です。」

 もちろん、同書に書かれていることは、架空のクーデターであり、フィクションであるが、中共の指導者の実名を使っています。

 ガーサイド氏はEpoch Timesのインタビューで、「全体主義」という中共の一党支配がまもなく終わると考える理由を説明しました。米国とその同盟国を含む各国は、経済という「武器」を利用し、中国の人々が中共(の独裁政権)から自由と民主主義への「大いなる飛躍」を遂げることを手助けできるとのことです。

 同氏は新著で描写した架空のクーデターは、中共政権が全体主義体制を終え、民主主義へ移行し始める一つのシナリオに過ぎないと述べました。

(翻訳・徳永木里子)