ガソリンポンプ(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 米国南東部の石油パイプラインはランサムウェア(身代金ウイルス)によるサイバー攻撃に遭い、7日から操業停止に追い込まれた。これを受けて、ノースカロライナ州、フロリダ州、ジョージア州の各知事が、10日と11日にそれぞれの州で緊急事態宣言を出した。現在、米国南東部の1,000カ所以上のガソリンスタンドが緊急事態に陥った。

 Gas Buddy Tracker(意訳:ガソリン価格追跡機構)のデータによると、最も深刻状況にあるのはノースカロライナ州で9.7%のガソリンスタンドが燃料切れを起こしており、。バージニア州では7.9%、ジョー州では6.5%、サウスカロライナ州では4.3%となっている。

 同事件は燃料不足に対する市場の懸念を引き起こし、一時的に燃料価格に影響を与えた。 統計によると、米国のガソリン先物価格は10日に一時1ガロンあたり2.217ドルにまで跳ね上がり、小売価格の平均は2.985ドルで、2014年以来の最高値を記録した。

 バイデン大統領は同事件について、パイプラインへの攻撃は「犯罪行為だ」と指摘した。同氏は「米国エネルギー省はガソリン会社と協力してパイプラインの早期復旧に取り組んでおり、FBIもサイバー攻撃の評価と対処を行っている」と述べた。

 今回のサイバー攻撃が燃料供給と価格に与える影響は、石油輸送パイプラインがいつ再開されるかによって決まるという分析がある。一方、短期的なガソリンの備蓄は、パイプラインの閉鎖による供給停止の影響を受けないが、タンカーや陸上輸送などの輸送手段はパイプライン輸送に比べて能力が劣り、輸送コストが高くなり、あるいは原油価格の上昇に拍車をかける可能性がある。さらに、予防接種の増加や防疫規制の緩和などの要因により運転活動が活発化し、米国の季節的な航空需要のピークと相まって、燃料在庫がさらに逼迫する可能性がある。

(翻訳・藍彧)