(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 中国当局による学術演説の締めつけが強まる中、中国の教育制度を批判する発言をした中国人教授が罰を受けた。

 趙思運(51歳)は、浙江省の公立大学で文学部の副学部長を務めている。

 9月30日の新入生歓迎式典の中で、彼は中国の教育状況を批判し、大学が生徒の創造性・革新性・社会への関心を育てられなかったことを嘆いた。

 彼は、学生が独立した思考を持ち「大衆的知識人」という概念を抱く必要性について語った。同氏によると、これは「批判的な姿勢と高い道徳心を持った理想主義者」を指す。

 「国や人に深い愛情を持つ人だけが、社会の暗い面を批判できる」と彼は述べた。

 彼が自身のSNSにスピーチのコピーを投稿したところ、10月8日には地元紙がそれを再出版するなど反響が広がっていった。

 しかし、この発言は大学当局にとって気分の良いものではない。

 10月12日、大学の共産党委員会は「不適切な言葉を選択した」ことを理由に趙氏を処分した。また同校は、2013年から2015年にかけて同氏が「間違った意見や言葉を掲載し、相当な悪影響を及ぼした」とも指摘した。

 趙氏処罰のニュースを受け、多くの中国ネチズンたちは「趙氏には自分が何をしたかを話す権利がある」と発言した。その後、メディアやSNSにおける趙氏に関する記事は政府による検閲の対象となってしまった。

 しかし検閲が始まるよりも早く、中国版ツイッター「ウェイボー」では趙氏に関する過去の投稿が閲覧できるようになっていた。趙氏は2013年8月の投稿で「大学から中国共産党組織を排除すると約束する」とコメントした。中国ではあらゆる職場に共産党委員会が設置されており、従業員に対し党の見解を刷り込んでいるためだ。趙氏は「大学生に対し公務員試験を受けるよう指導する。いずれは政府のシステム全体の崩壊につながるかもしれない」と書き込んでいた。

 2014年7月、趙氏は「教育が政治の臣下になった」とのコメントを再投稿し、大学が党の支配下に入ったことを嘆いた。

 中国では、国家の現状や党に批判的な意見を教室で述べたために処罰されるケースが相次いでおり、趙氏の事件はその最新の事例だ。ある事例では、学校の党委員会に教師の「攻撃的な」言動を密告したのは学生だった。学生が党の情報提供者になることもあり得るのだ。

 8月には、立憲主義と法の支配を提唱するコメントを投稿した貴州大学の楊紹政氏が解雇されるという事件があった。さらに続けて、既に退官した84歳の孫文広元教授がボイス・オブ・アメリカとの電話インタビューに応じたことを理由に、警察に連行されるという事件も起きた。

 中国人コメンテーターの夏小強氏は「近年、自身の見解を発表する人々が中国共産党政府により弾圧を受ける事例が頻繁にみられる」と解説している。

(翻訳・今野秀樹)