英国議会が議事堂として使用されているウェストミンスター宮殿(Pixabay CC0 1.0)

 11日、英フィリップ・ハント上院議員により提出された「医薬品及び医療機器法案(MMDB,Medicines and Medical Devices Bill)」の修正案が、英国議会上院と下院それぞれで可決されて正式に英国の法律となった。同修正案は主に医療用の人体組織の輸入に関するもので、背景には生きたままの臓器強制摘出に反対する声が後を押した。今回の立法は重要な意義を持っており、2019年に「民衆法廷」が中国で「良心の囚人(主に法輪功学習者ら)」の臓器が強制摘出されていたと判定した後、英国での初立法となった。

 同修正案は、知らないうちに臓器強制摘出に加担することを防ぎ、同時に中国共産党による良心の囚人から臓器強制摘出という犯罪を抑制、海外から輸入された(強制的に摘出された可能性がある)人体組織、臓器、細胞が英国の医療業界に入らないよう、英国の医療機関や開業医を保護することを目的としている。

 フィリップ・ハント氏は「現行の『2004年人体組織法(Human Tissue Act of 2004)』で人体組織の輸入に適切な審査の同意が必要とされていないことから、今回の改正は英国の人体組織法のギャップを補完するものである。そして、英国が率先して犯罪行為に加担しないよう、他国に重要なメッセージを送ることにもなる」と述べた。

 同氏は国会弁論で「中国共産党が良心の囚人から臓器を強制的に摘出していることを世界がますます認識しており、現在、少数民族や宗教団体を含む何百万人もの中国人が、労働収容所に拘束されている。現代の奴隷制度は英国のサプライチェーンに入り込んでおり、私たちが今それに加担しているのだ」と熱弁した。

 また、同氏は「民衆法廷」の調査結果を引用し、「臓器強制摘出は長年にわたり中国各地で大規模に行われており、法輪功学習者は臓器の供給源の一つ、または主な供給源となっている。民衆法廷は最近、生きている犠牲者の体から臓器強制摘出という恐ろしい犯罪(殺人のプロセス)が、広範囲に発生し続けていることを明らかにした」と述べた。

 下院で修正案を発起したマリー・リマー議員は国会弁論で、法輪功学習者とウイグル人からの臓器強制摘出の問題に言及し、「民衆法廷」の判決を強調した。

 リマー議員は「私は人道への罪を犯した中国共産党のメンバーがいつか正義の裁きを受けることを望んでいる。修正案は人道に対する罪は許してはいけないという明確なメッセージを発信しており、中国共産党のためではなく、中国民衆のためである。修正案を英国と中国の新しい関係、もう甘くない新しい関係の始まりにしよう」

 2019年6月17日、中国の臓器強制摘出を調査する国際団体「民衆法廷」はロンドンで、中国で「良心の囚人(主に法輪功学習者たち)」の臓器を強制摘出する行為が長年行われてきたと最終判決を下した。

(翻訳・徳永木里子)

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