Clubhouseのウェブページ(ウェブページのスクリーンショット)

 アメリカのチャットソーシャルネットワークアプリの「Clubhouse(クラブハウス)」は、中国で人気が出てから1週間も経たないうち、8日夜に禁止された。中国のネットユーザーは予想内だと表した。

 Clubhouseには多様なトピックのクラブやバーチャルルームが用意されている。テスラCEOのイーロン・リーヴ・マスク氏が先日Clubhouseでライブ配信を行ったために、同アプリは瞬く間にヒットとなっていた。Clubhouseのアカウント登録には「招待コード」が必要なため、中国の最大手ネット通販淘宝網(タオバオワン)などのプラットフォームで、最高値約400元(約6478円)で販売されていたが、現在はすべてのネット通販プラットフォームで棚から降ろされた。

 これまで、中国のネットユーザーはグレート・ファイアウォールを突破する必要がなく(フェイスブックなどはその必要がある)、Clubhouseを利用して中国でタブーとされている話題を語ることができたため、中国でも人気が高まった。さらに、中国で社会問題を議論するブームを巻き起こし、中国共産党にタブー視されている話題のチャットルームが続出した。

 ラジオ・フリー・アジアによると、「新疆ウイグル自治区には強制収容所がある」というチャットルームでは、中国を含むさまざまな国や地域のネットユーザーが、新疆のいわゆる再教育収容所についての経験や見識を共有したり、地元の少数民族が新疆の状況について懸念を表明したりしていたという。同放送局やボイス・オブ・アメリカなど海外メディアのジャーナリストも当該チャットルームに参加している。

 香港問題、台湾問題、六四天安門事件などに関連する話題のチャットルームもある。

 同アプリの音声技術は中国の音声技術会社Agoraによって提供されているのが明らかになったことで、裏には中国共産党の監視があるのではないかという疑惑が浮上した。当時多くのネットユーザーは、このような「言論の自由」がいつまで続くのかという懸念を表した。

 同アプリは現在、人気が出てから1週間も経たないうち中国共産党政権に禁止された。ネットユーザーの懸念は当たったのだ。

 六四天安門事件の学生リーダーである王丹氏は、「Clubhouseが禁止されたのは予想内である。数日前までブロックされていなかったのは、政府機関の操作手順に時間がかかっていたことや、関係者が情報収集をしていたことが原因かもしれない。中国共産党が存在する限り、インターネットの自由に幻想を抱くことはできない」とツイートした。

 王氏は続けて「しかし、これと同時に少しの余裕と機会があれば、中国の若い世代が真実を知り、統一や独立の問題を含めた理性的な議論をしようとする意欲を持っていることも明らかになった。つまり、まだ希望があるということだ」と語った。

 現在ニューヨーク滞在の中国のベテランメディア関係者である程益中氏は「Clubhouseが中国で禁止されたのは予想通りだ。中国はWeChat(ウィーチャット)グループですら随時ブロックされ、プライベートな通信ですら罪の証拠になる国なのだ。中国は960万平方キロの精神刑務所だ」とツイートした。

(翻訳・徳永木里子)

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