(写真/Pixabay CC0 1.0)

 中国本土で「二人っ子政策」が発表され以来、出生率は増加するどころか逆に減少している。現状を打破しようと中国の地方政府は出産を奨励するほか、一部の地域ではまだ許可されていない第三子の出産に対しても目くじらを立てずに黙認している。このように政府が主体となって子育てを奨励しているものの、高額な教育費や住宅費、看護資源の不足等の要因により若者たちは二人目の子供の出産を控えている。上海に住むある母親は「特に必要でなければ二人目を生まないほうがいい」と忠告した。

 BBCの報道によると、中国国家統計局のデータからは、2017年度中国全国の出生数は昨年度より63万人減少し、2017年に出生した第一子の数は2016年と比較して249万人減少した。

 つまり、新しく施行された計画出産政策の効果はほとんどなく、妊娠に適する年齢帯の人々は妊娠意欲が低いため、第一子の出産率は逆に減少してしまった。

 第三子を産むか否かの議論に関して、上海に住む母親の筠さんの態度は非常に堅い。「絶対に第三子は生まない。今子供は二人いるが、お金を湯水のように消費している。三人目を生んだらとても養っていけない。強力な経済基盤がなければ、二人目も厳しいのではないか」。ふたりっ子を持つということは、生活の質の急激な低下を意味している。筠さんは「長女だけだった頃は、一年に二カ国へ旅行することができたが、今は国内の2つの省になってしまった」と言った。

 ある匿名のネットユーザーはBBCに対し、「教育、医療、住宅の三つの山を越えることができなければ、子供を持つことなど不可能だ」と述べた。

 2016年の統計データによると、中国の出生率は全世界199か国と地域の中では最下位で、急激な少子高齢化と人口規模の萎縮は回避できない問題となっている。専門家によると、今後10年間の中国では妊娠に適する年齢帯の女性は40%減少する見込みであり、出生数は激減し、その結果国民生産力の低下と平均収入の減少に繋がる。

(翻訳・清水小桐)