かつて、中国当局は海外の華人を「祖国」に引き寄せ、技術や知恵、先進的な経験で貢献するよう強く促していました。各地の政府は華人人材の導入を誇りにしていました。しかし今では、国有企業や行政機関が採用時に政治審査を厳格化し、海外で起業、仕事、生活をした経験のある人を拒否しています。多くの中国留学生は帰国後の就職が非常に困難であることを嘆いています。

 北京公安局平谷分局が4日、40名の補助警察官を募集する公告を発表しましたが、中国本土外で6か月以上生活した求職者は、犯罪歴のある者と同様に採用されないと規定されています。

 同様に、広東省公安庁に属する薬物研究センターも、博士号を持つ求職者の採用時に同様の海外経験者を拒否しています。

 国家移民管理局、北京市公安局傘下の重要情報インフラ保護センターなどの政府部門も海外経験者は応募できないと明示しています。

 中国当局政策の変化を比較すると、「導入」は主に20世紀末のWTO加盟前後のことであり、当時は世界が中国の経済発展を支援していました。しかし、「拒否」は世界が中国による技術窃取、経済秩序を乱すことを警戒するようになった時期です。現在、中共はますます世界と対立するようになっています。

 昨年以来、中国当局は全国的なスパイ摘発運動を展開し、国家安全立法を強化し続けています。今年5月に可決された《国家秘密保護法》の拡大版は、教育、技術、インターネット使用、軍事施設などの分野をカバーしています。新しい条項の一つは、機密情報にアクセスする権限を持つ職員は退職後や定年退職後も一定期間、許可を得ない限り海外旅行が禁止されると規定しています。

 現在中国政策の方向転換に対して、多くの中国人留学生は、「大金をかけて海外で学び、祖国に貢献しようと思っていたのに、結局祖国に『却下』されてしまった」と嘆いています。

(翻訳・吉原木子)