中国人は通常、母国を離れることを望んでいませんが、現在、中国当局の厳しい政治的管理と中国経済の不況により、多くの中国人が中国から脱出したいと考えるようになっています。中国では「海外移住」の波が押し寄せており、多くの人々が海外移住を望んでいます。

 しかし、移住の波と共に、資金移動の問題が必然的に生じます。現在、中国当局は国内の資金流出を厳格に管理しており、多くの場合、いわゆる政府の規定は法的根拠を持っていません。このような状況の中で、中国人はどのようにして海外に資金を送金するのでしょうか?

 民主主義の国では、個人は自らの財産を自由に支配することができます。これには、自身のお金を他の国の通貨に両替することも含まれます。例えば、イギリス人がアメリカで家を買いたい場合、いつでも自身のポンドを米ドルに両替することができます。また、世界中のどの国の株式や債券などの投資商品を自由に売買できます。

 しかし、中国共産党支配下の中国では、国民は海外の不動産や株式を購入することは許可されず、自由に人民元を外貨に両替することも許されていません。言い換えれば、中国人には財産を自由に支配する自由がありません。銀行にお金を預けることは簡単ですが、引き出すことは難しく、他の通貨に換えて海外に送ることはさらに困難です。このような状況の中でも、依然として多くの中国人がさまざまな手段を使って資金を海外に移しています。

1、毎年5万米ドルの外貨枠

 中国人が身分証明書を使って銀行口座を開設すれば、年間に5万米ドル相当の外貨を購入することができます。一方、外国人パスポートで銀行口座を開設する外国人には5万ドルの枠は適用されず、外貨を両替したい場合は、銀行の窓口に行かなければならず、1日に最大500米ドル相当の外貨しか両替できません。

 中国の外貨管理局の規定によると、外貨に両替できれば、その外貨を海外に送金することもできます。以前は、個人が5万米ドルの枠を使い切り、友人や親戚の枠を利用して外貨に両替し、海外の親戚に送金することができました。これは一般的に「アリの家移り」と呼ばれています。

 この行為は国家外貨管理局の規定に違反していないが、中国の役人は法的根拠があるかどうかを問わずに気分次第で処理しています。近年、このような行為が増え、外貨管理局の注意を引きました。そのため、ここ2年ほど、この方法で徐々に外貨に両替し、海外に送金することができなくなりました。外貨管理局が5万米ドルに両替し、海外口座に送金する人を発見すると、その口座を凍結します。その凍結が解除されるまでの期間は、外貨管理局の役人の気分次第であり、中国当局の役人の行動は法的に拘束されていません。

 その他にも送金方法があります。中国銀行の規定によると、窓口での送金には直系の親族の証明が必要です。この場合、海外にいる人が国内の口座から自分の海外の口座に5万ドルを送金できます。さらに、その人の両親がそれぞれ彼に5万ドルを送金することもできます。これにより、年間で合計15万ドルを送金することができます。ただし、このような方法を使うことで外貨管理局に目を付けられるかどうかはわかりません。

 また、親戚や友人にATMや携帯電話で外貨を送る方法もありますが、そのリスクは非常に大きいです。

 まず、その友人の口座で外貨に両替するためには、35万元をその友人の口座に送金する必要があります。しかし、そのお金が他人の口座にあるため、その人の品行が悪い場合、後で約束を守らない可能性があります。その結果、送金したお金はすべて失われることになります。

 次に、銀行はすべての操作を銀行員がバックエンドで見ることができると通知します。そのため、操作を行った銀行がその金を保留する場合、やはり送金することができなくなります。

2、海外で働く中国人に両替

 家を売却したお金をすべて海外に送金したい場合、先述の方法は手間がかかりすぎます。海外で働いている中国人の中には、自国の親戚に送るために一定額の外貨を人民元に両替する必要がある人もいます。彼らを探し出して協力してもらえば、送金手数料を節約することができます。

 1つ例を挙げましょう。ある上海の人が上海の家を売却し、数人のオーストラリアで働いている中国人を見つけ、携帯電話で人民元を直接彼らの国内の家族に送り、彼らから対応するオーストラリアドルを受け取りました。

 しかし、中国の法律によれば、このような行為はマネーロンダリングや詐欺行為に該当します。中国当局に発見された場合、関与者の国内の銀行口座が凍結されます。関与者は、これが合意の上で行われたものであり、被害者がいないため犯罪が成立しないと考えています。しかし、中国当局は、政府や外貨管理局、そして銀行が被害者であると考えています。私的に外貨を両替することは、中国当局の管理を迂回し、銀行が手数料を得られないため、犯罪行為に該当すると見なされます。

 このような私的に外貨を両替することは摘発されにくいかもしれませんが、中国ではビッグデータや監視カメラの監視下にあるため、中国人にはプライバシーがありません。すべての人の行動が当局に監視されています。

3、現金を持って出国

 中国人の中には現金を持ち出す人も多いです。中国の税関の規定によれば、5000米ドル以下の金額を持ち出す場合は申告する必要はないが、1万米ドル以上の金額を持ち出す場合は、銀行や外貨管理局で外貨持ち出し証明書を申請する必要があります。

 しかし、銀行に行っても外貨管理局に行っても、外貨持ち出し証明書を申請することは非常に困難です。中国人の両替限度額は年間5万米ドルであるにもかかわらず、銀行員は「そんな多額の外貨現金がない」と言われ、また国外に現金持ち出しの理由を説明する必要があります。

 中国人が海外旅行に行く場合、現在は年間で最大500米ドルしか引き出せません。もちろん、一部の人々は外貨持ち出し証明書を申請せずに私的に外貨を両替し、問題なく資金を持ち出しています。

 多くの人が「海外への送金は難しい!」と嘆いています。それが中国の現状です。中国共産党支配下の中国は、マフィア以上に闇が深いです。

 現在、中国から撤退する多くの外資系企業や投資家も同様の問題に直面しており、資金を持ち出すことが非常に困難です。

 中国の汚職官僚などは、数億米ドルの資金を中国から海外に移すことができるのはなぜでしょうか?その理由はとても簡単です。つまり、外貨管理局の助けがあるからこそ、資金を持ち出すことができたのです。

(翻訳・藍彧)