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 表に出さなかった怒りや悲しみ、悔しさでも、私たちの身体は一つ残さず記録しているのです。つまり、人間の「気分」は「健康」に直接影響するということです。プレッシャーのかかる生活や仕事を強いられると、体内のアレルギー症状が2日で倍増するという研究結果も増えています。しかし、このとき涙を流すと、ストレスによって生まれるホルモンは涙と一緒に体外に排出されることができます。

 では、人間の喜怒哀楽はどのように健康に影響を与えているのでしょうか?今回は、「体が出している声」に耳を傾けてみましょう。

1、「愛の告白」はコレステロールを下げる

 恋人をどれだけ愛しているかを恋人に伝えることで、コレステロール指数を効果的に下げることができます。週に20分、恋人にかかわることを書き記す習慣を続けると、5週間以内にコレステロール指数が下がることが報告されています。
 また、情熱的な恋愛の中にいる人は、神経成長因子の産生が1年間も促進されることができます。神経成長因子はホルモンに似た物質で、神経系の再生を助け、脳細胞の発達を促進することで記憶力を向上させる効果があることが明らかになっています。同時に、恋をしている人は常に「愛されている」という満足感を味わっているため、心身の状態も安定しやすくなります。

2、「激しい喧嘩」は自己回復力を半減

 例えば、体の調子の悪い日に誰かと喧嘩をしたら、体の調子が回復するのに、喧嘩しない日よりもう一日ぐらいかかってしまいます。よく喧嘩をする人なら、その自己回復力は他人の半分しかない可能性が高いことが明らかになっています。また、怒ったときに起こる血圧の上昇のほか、怒った後の丸1週間は、喧嘩のことを思い出すだけで身体ストレス指数が再び上昇する可能性があります。
 そのため、喧嘩をしたことがあるなら、そのことから気持ちをそらすようにするのがオススメです。心を落ち着かせ、怒りを和らげるようにしましょう。

3、「過度のストレス」は免疫力の低下を招く

 精神的であれ肉体的であれ、短時間のストレスは数週間にわたって免疫力を高め、がんと闘う分子を発生させることができます。しかし、長期間のストレスを受け続けると、記憶力の低下、免疫力の不足、生殖能力の低下などに悩まされることになるかもしれません。同時に、ストレスはアレルギー反応を強め、肉体的にも精神的にも悪い状態に陥らせることもあります。
 ストレスが溜まったら、おいしいものを食べたり、旅行に出かけたりするなど、人それぞれのストレス解消法があるでしょう。そこで、最も簡単にストレスを解消する方法は「ハグ」なのです。ストレスが溜まっているときは、親しい人にハグしてもらいましょう。

4、「何事も我慢」は重病になる確率を高める

 女性は、夫との喧嘩の後に怒りを我慢すると、心臓疾患、脳卒中、ガンにかかる確率が2倍になる可能性があります。一方、数分間だけでも、怒りで大声を出してしまうと、血圧や心拍数が急上昇し、心臓発作を起こす可能性が19%高くなると言われています。しかし、愚痴や文句、泣き言など、少し穏やかな怒りの表し方を見つけたとしても、怒りに伴うストレスや落ち込みは依然として健康に良くないです。
 そのため、怒りを適度に表現し、感情を正しく表現することを学ぶことは、他人にとっても、自分自身にとっても、素晴らしいことなのです。

5、「抑うつ気分」は身体の痛みをもたらす

 うつ、悲観的、否定的な気分はすべて、身体に複数の悪影響を及ぼす可能性があります。気分が落ち込むと、脳の中にある「セロトニン」と「ドーパミン」のレベルが低下してしまいますが、この2つの物質は幸福感に関係する神経伝達物質で、気分が良いとそのレベルは高くなります。
 さらに、「セロトニン」のもう1つの重要な働きは、痛みを軽減することです。そのため、うつ病患者の45パーセントは、さまざまな身体的痛みにも悩まされています。

6、「嫉妬」は血圧を上げる

 嫉妬は人間の感情の中で最も激しく辛いものである一方、コントロールが最も難しいものでもあります。嫉妬は恐怖、ストレス、怒りと混ざり合い、身体の「緊急反応メカニズム」を刺激できます。そのため、人が嫉妬するとき、血圧、脈拍、アドレナリン、免疫系のすべてが危険にさらされることになります。

7、「号泣」は身体の解毒

 涙にはストレスに関連するホルモンや神経伝達物質が多く含まれています。そのため、声を出して泣くことは、感情を解放するだけでなく、体に有害な物質を取り除き、体のストレスの軽減にもつながります。
 逆に、涙を我慢してしまうと、体内の自然な解毒作用が妨げられ、さらに落ち込んだ感情になり、結果的に免疫力、記憶力、消化力の低下を招くことになります。

8、「笑う」ことは成長ホルモンを高める

 気分を高揚させる「β-エンドルフィン」という神経伝達物質が体内で27%多く分泌されれば、睡眠と細胞の修復を助ける成長ホルモンのレベルを87%上昇させることができます。つまり、日頃よく声を出して笑うことができれば、夜にはよく眠れるようになり、肉体的にも精神的にも調子がよくなるということです。
 このことは面白い映画を一本見ただけでも実現できるかもしれません。声を出さなくても、笑いたいと感じることが、気分の落ち込みに関係する「コルチゾール」と「アドレナリン」の分泌を抑えることができます。
 さらに、笑うことは不必要なストレスを減らし、心臓病の発症率を低下させます。中国のことわざ「笑一笑,十年少(一度笑えば10歳も若返る)」というのは、科学的根拠があるわけなのですね。

9、「幸せを感じる」ことに無数の利点

 愛、感謝、満足感が「オキシトシン」の分泌を刺激します。気分が明るくなると、心臓から「オキシトシン」が分泌され、その作用で神経系が徐々にリラックスし、ストレスが解消されていきます。同時に、体内組織への酸素供給量が大幅に増加し、身体の回復速度がさらに高まります。また、人は感謝しているとき、脳と心臓の電気活動がともに調和する傾向があり、この状態で脳と心臓は最も効率よく働くことができます。
 怒り、悲しみ、悔しさ、嫉妬、長引くストレスは、身体にとって耐え難いものであり、感情の変化はすべて身体の健康に影響を及ぼします。そのため、今日からは自分の身体の声を聞き、感情の変化を捉えることを学び、心身ともに健康になっていきましょう。
 また、本を読んだり、あぐらをかいてしばらく瞑想したり、外に出て自然を感じたりするなど、心を落ち着かせる方法を見つけると同時に、気分をリラックスさせることで、体も自然とリラックスすることができるでしょう。

(翻訳・玉竹)