中国共産党第20期中央委員会第2回全体会議(二中全会)は2月28日に閉幕しました。会議の公報は、「世界は新たな激動と変革期に入った」とし、「経済回復の基盤はまだしっかりしておらず、予測できないさまざまな事態がいつでも発生する可能性がある」「強風や激しい荒波のような大きな試練に耐えられるように準備しなければならない」と述べました。また、「国家の安全と社会の安定を断固として守る」と強調しました。

 公報の内容が政権の安全に密着したものであるが、その行間からは、共産党上層部の将来に対する強い不安感がにじみ出ています。また、さまざまな不測事態がいつでも発生する可能性があると珍しく認めています。中でも「強風や激しい荒波のような大きな試練に耐えられるように準備しなければならない」という言葉が特に目を引くのです。

中国共産党、どのような危険に直面しているのか?

 3年間の「ゼロコロナ政策」で、中国全土の経済基盤が破壊されました。現在、中国の対外貿易輸出は激減し、全国的に商工業は低迷し、失業率は急上昇し、国民の個人貯金は都市封鎖期間中に激減しています。

 上海公安局のデータベース流出事件から、3年間のコロナの流行で人口が4億人減少したことが分かりました。

 昨年11月に発生した白紙革命や、今年1月に発生した医療保険改革に反対する高齢者の大規模な抗議デモは、一般市民が中国共産党の圧迫に耐えられなくなり、反発し始めたことを物語っています。

 昨年11月末、中国当局の突然の封鎖解除により、多くの高齢者が死亡し、臓器移植を受けた多くの中国共産党幹部も死亡しました。そのため、多くの党幹部も習近平政権に強い不満を持つようになりました。現在の中国共産党政権は火山の噴火口にいるようなもので、今にも噴き出す溶岩に焼かれそうな状態だと想像できます。

 政権崩壊の運命を回避するために、中国共産党はあらゆる措置を講じるに違いないが、その中でも台湾への侵攻は中国共産党にとって最後の選択肢になるかもしれません。

中国共産党政権の最近の措置

 中国全国人民代表大会(全人代)のウェブサイトが2月24日夜18時42分に突然、軍隊の戦時に関する『中華人民共和国刑事訴訟法』の一部規定の適用決定を盛り込んだ戦時法案を発表しました。特に注目されるのは、会議当日(24日)に同法案が可決され、翌日の25日に発効したことです。

 米国のジャーナリストである李沐陽(リー・ムーヤン)氏は、「同法案の可決は、中共が全国で随時に軍事管制を実施でき、中華民国(台湾)を攻撃することを意味している」と述べました。

 また、中国東部沿海各省の「国防動員委員会総合弁公室」が最近動き始めています。同弁公室は、防空基地や新兵訓練基地の建設だけでなく、生産にも責任を持っています。これに対して、ジャーナリストの江峰(ジャン・フゥン)氏は東部沿海の各省で戦争準備を急いでいると述べました。

 また、中国では3月1日、「中華人民共和国予備役法」が正式に施行されました。これは1996年に施行された「予備役軍官法」に代わるもので、2022年12月30日の第13期全国人民代表大会で可決されました。

 YouTubeで18万人のフォロワーを持つ「方的言(ファンドォイァン)」は、中国共産党が戦争を始めれば、国内のかなりの範囲で軍事管制が実施されると見ています。「軍事管制が実施されれば、市場経済や雇用を考える必要はなく、すべての物資は戦時的な配分が行われ、台湾海峡に傾斜していくだろう。内乱を防ぐため、武器を持たない国民に対して、少量の軍事化訓練を受けた予備役が国内治安を維持するために使用されるだろう」

 終わったばかりの中国共産党第20期中央委員会第2回全体会議は、政府の機構改革の内容を明らかにしなかったが、中国共産党は公安部と国家安全部を国務院から分離し、中国共産党中央委員会が直轄する「中央内務委員会」に統合すると、香港の「明報」が報じました。

 中国共産党最高指導部は、プーチン氏のウクライナ侵略戦争が、多数のロシア人を死亡させたものの、かえってロシア人の西側に対する憎悪を刺激し、プーチン政権を安定させたとみていると、中国共産党のある「軍2代(軍幹部の子女)」が明らかにしました。したがって、中国共産党は台湾海峡での戦争開始を利用して、中国国民の幅広い支持を獲得し、政権の安定化という目的を達成しようとしています。戦争を起こす目的は政権の安定維持である以上、中国共産党は台湾海峡戦争で中国と中国国民がどんな損失を被ろうとも気にせず、敗北にさえ無関心であるのです。そして、戦時中に旧ソ連のやり方を参考に、「中央内務委員会」は中央軍事委員会の刑法に対する調整に基づいて、中国共産党に反対する国民や高官まで大量に逮捕・処刑を行います。

中国共産党、台湾侵攻の準備はできているのか?

 上述した中国共産党が最近取ったすべての措置は、台湾海峡での戦争勃発後に、いかにして中国共産党政権を維持するかを目的としています。では、中国共産党は戦争の準備ができているのでしょうか?

 2021年2月、海外在住の元中国共産党海軍司令部中佐の姚誠(ようせい)氏は、新唐人テレビのインタビューで、中国軍は台湾攻撃に十分な備えをしていると発言しました。姚誠氏は、台湾に対して効果的な上陸作戦を行うには、中国海軍は少なくとも70隻の大型揚陸艦が必要であり、2020年末の時点で、中国海軍はすでに74隻の大型揚陸艦を持っており、揚陸艦の数は十分であると述べています。

 また、姚誠氏は、台湾への上陸作戦には最低10万人の兵力が必要だと考えています。 現在、中国海兵隊は8つの旅団で総勢4万人、それに海兵隊に完全転換した中国軍の第72軍と第73軍を加えると、すでに10万人を超えています。さらに、中国軍の第71軍と第74軍も台湾を攻撃するための軍隊に含まれています。したがって、台湾侵攻に必要な兵力が十分あります。

 姚誠氏は、中国共産党が2018年に新設した海上警察艦隊は、正規の海軍部隊の要領で完全に編成されており、軍艦の総数は約100隻で、中国海軍の艦隊の規模に匹敵するものだとつけ加えました。つまり、中国共産党の台湾侵略のための軍事的準備は基本的に完了しており、いつでも軍事攻撃を開始できる状態にあるということです。

 複数のメディアの報道によると、中国共産党は2020年以降、各国から大量の食料を購入しているとのことです。 2021年12月22日の日本経済新聞(中国版)の報道によると、中国の穀物備蓄量は2021年上半期に世界の備蓄量の半分以上に達したといいます。

 中国共産党の穀物大量購入の理由について、中国国内の軍事サイト「西陸網(せいりくもう)」の2021年5月12日の評論記事では、中国共産党が2021年前半にコストに関係なく穀物を大量購入したのは、これからの戦争に備えるためであると明言されています。

 中国には「軍隊が動く前に、まず食糧が動く」という古いことわざがあります。 中国共産党は、ひとたび戦争が始まれば、他国から食糧を購入できなくなることを知っていたので、あらかじめ食糧を備蓄しておかなければなりません。

 スイス連邦関税局は、2022年7月に中国がスイスから80トン以上の金を輸入し、2016年以降では最も多く、6月の2倍以上、5月の8倍以上となったと発表しました。中国の年間金輸入量が2020年に601トン、2021年に818トンに達しました。中国の外貨準備に占める金の割合は、この3年間で大幅に増加しました。

 ツイッター時事評論アカウント「LT視界」は、プーチン氏がウクライナ侵攻前にも同様の動きをし、ロシアは国際制裁に備えて過去5年間に増加した外貨準備のほぼ全額を金の購入に充てたと考えています。

 米国財務省が開示した最新のデータによると、中国の米国債保有額は2022年12月に8671億米ドルに減少し、最近12年間で最低レベルになった。また、ロシアは近年、米国債の保有額を持続的に減らしており、最新の数字では、ロシアの米国債保有額はわずか6億米ドルとなっています。

中国共産党、台湾海峡戦争をいつ開始か?

 習近平氏が就任後にとってきた戦狼外交政策によって、アメリカやヨーロッパ諸国は中国とのデカップリングを招き、中国共産党が他国から技術機密を盗んで自国の軍事技術を高めることに頼り続けることは、もはや不可能になっています。これにより、今後、中国共産党の軍事技術レベルは次第に欧米諸国に遅れをとり、台湾海峡戦争で中国共産党が勝利する可能性はますます低くなります。したがって、習近平氏は、2027 年以降に台湾を攻撃するという中国共産党の当初の計画を放棄しなければならず、可能な限り最短時間で台湾への侵攻を開始する必要があります。

 江峰氏は3月1日の動画で、中国空軍の戦闘機の多くは西北部に集中しているため、中国共産党が台湾を攻撃するかどうかを判断する非常に重要なポイントは、大量の戦闘機が中国の西北部から東南海岸に移動するかどうかを観察することであると述べました。

 江峰氏は、中国国内の多くの情報源から、福建省や広東省で大量の航空機が超音速飛行を行う際の爆音が聞こえたとの情報を入手しており、大量の中国戦闘機が東南海岸に移動していることの証明となったと述べました。これにより、江峰氏は、中国共産党の全国人民代表大会と中国人民政治協商会議全国委員会が終わった後、中国共産党は台湾海峡で戦争を起こすだろうと判断しています。江峰氏は、台湾海峡では夏に台風が発生し、冬には非常に強い北東風が吹くため、中国共産党は毎年4、5、6月の3ヶ月間にしか台湾を攻撃できないと説明しました。

 個人メディアの文昭氏によれば、中国共産党の最近の一連の動きは、台湾へ侵攻する時期が近づいていることを示しているが、すぐに台湾を全面的に侵攻することを意味しないとのことです。中国共産党が台湾に対して正式に戦争を開始する前に、中国大陸側にあるいくつかの離島を攻撃したり、台湾周辺海域を軍事封鎖したり、さらには戦争の名を借りて国内で大規模な鎮圧を行ったりする可能性が高いと、文昭氏が推測しています。

 果たして中国共産党が本当に数ヶ月後に台湾に対して戦争を開始するのか、目を見張って待ちましょう。

(文・黎宜明/翻訳・藍彧)