(Beboldtlsfkaus, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

 料理が間に合わない時は、私はよくインスタント麺に頼ります。インスタント麺の中でもお気に入りの逸品があります。調理する時は、野菜とハムなどを入れて数分でできる便利な一品。麺のコシもあり、スープまで美味しいのです。

 インスタント麺を調理する時、自分なりの「健康的な料理法」に従って作っています。それは、麺が出来上がってから粉末スープを入れることです。粉末スープは沸騰したお湯に入れると身体に有害だと何年も前から知っていたし、ほとんどのメーカーはパッケージで「粉末は最後」を明記しているので、いつもそのようにしてきました。

 先日も麺を作りましたが、パッケージを捨てる前に、何気なくちらっと見ました。するとこのメーカーの「粉末と麺を一緒に煮込んでください」という説明書きを見つけました。

 粉末スープは沸騰したお湯に入れるとと身体に有害なのでは?と思いましたが、メーカーがこのような調理方法を表記するのは、なんらかの根拠と自信があってのことだろうと思いました。

 そこで私は、初めて自分の「健康的な料理法」の順番を変えて、粉末と麺を一緒に入れました。そしたら鍋の蓋を開けると、いつもより美味しそうな香りがしました。スープを味見すると、明らかに以前の工程で作ったものより美味しくなっていました。このラーメンの押しは美味しいスープだったのですが、私の以前の作り方ですと、その美味しいスープはずっとできていなかったのかもしれません。

 何年も慣れ親しんでいた麺は、結局ずっと間違った作り方で食べていたのですね。特に根拠のない「健康的な料理法」に従っていたがために、これが麺の正しい作り方だと常に思い込んでいたのが原因です。パッケージを見ることなく麺を作っていましたし、我ながら上出来だとも思っていました。しかし、今までやったことのない新たな試みで、パッケージの説明書き通りに作ってみて初めて、自分の間違いの深さに気付いたのです。

 インスタント麺で犯したこのようなミスは、私たちの生活の中でいったいどれくらいあるのでしょうか。麺の調理のほか、歯を磨くこと、コーヒーを淹れること、家までの帰り道など、多くの事を日常生活で何度も繰り返します。その回数が多ければ多いほど、私たちはそのルーティンに慣れてしまい、その道のプロのような自信で、目を閉じてもできてしまうかもしれません。しかし私たちが一番よく知っていることこそ、最もミスしやすいところなのです。

 慣れるほど油断しやすいものです。固定観念を切り捨て、視野を少し広げただけでも、異なる細部を発見でき、美味しいインスタント麺も作れるようになるでしょう――。

(文・青松/翻訳・暁英)