ワシントンD.C.のペンシルバニアアベニューにある国際通貨基金の建物(AgnosticPreachersKid, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

 国際通貨基金(IMF)は15日、2020年の政府や企業、家計を合わせた世界の債務残高が過去最高の226兆ドル(約2京5700兆円)に達したとの集計を発表した。第二次世界大戦以降最大の年間増加額を記録した。

 IMFの世界債務データベースの最新情報によれば、新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)の流行で、2020年の世界債務は国内総生産(GDP)の合計と比べると、前年から28ポイント増の256%に上った。政府の借入額が債務増加額に占める比率は全体の半分を僅かに超える水準にあり、世界の公的債務は対GDP比で過去最高の99%に跳ね上がった。非金融企業と家計の民間債務もまた最高の水準に達した。

 債務拡大は特に先進国で顕著であり、公的債務の対GDP比が2007年の約70%から、2020年には124%まで上がった。他方で、民間債務の拡大ペースは比較的緩やかで、同時期の対GDP比は164%から178%に推移した。

 先進国では昨年、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に対応した巨大な景気対策で公的債務が急増。新興国や低所得国では名目GDPの大幅な落ち込みで債務比率が上昇したとIMFの調査担当者は説明した。また、昨年は中国だけで世界債務増加の26%を占めたという。

 IMF関係者によると、政府の金利引き上げは財政支出増加の効果を弱め、債務問題への懸念を高めるという。

 ビトル・ガスパール氏を中心とするIMFの担当者は「世界で金利が予想より速いペースで上昇し成長が低迷すれば、リスクは拡大する。公的部門と民間部門が同時にレバレッジ解消を迫られた場合、成長の見通しは暗くなる」と記した。

(翻訳・徳永木里子)