建設中の中国ラオス鉄道(Christophe95, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

 中国共産党の「一帯一路」プロジェクトは、3日に開通したラオスと中国を直結する初の国際鉄道の、ほとんどの採算が合わず、ラオスはこれから巨額の債務危機に直面する可能性があると指摘する専門家もいて、債務の罠であるとの疑惑が広がっている。

 同鉄道は、ラオスの首都ビエンチャンから中国国境に近いボーテンまで縦断し、国境を越えて中国雲南省の省都・昆明まで最高時速160キロで結ぶ。全長1035キロメートルで、雲南省内は計613キロメートル、ラオス国内は422キロメートルである。中国共産党が提唱する「一帯一路」構想の事業の一つ。

 2016年着工したラオス国内の総事業費は約60億ドル(約6800億円)で、中国が7割、ラオスが3割を出資する両国の共同事業であり、これでラオスの債務負担は隠れ債務を除いて10億6千ドル(約1204億円)にのぼる。2018年~2019年にかけて、ラオスは中国側と総額50億ドル(約5684億円)のインフラ融資を十数件締結している。

 「陸の孤島」からの脱却を目指すラオスと、巨大経済圏構想「一帯一路」の東南アジア展開を狙う中国。双方の利害が一致したが、実質は資金と技術の大半が中国頼み。採算性の低さと債務負担の増大という課題が早くも小国にのしかかっている。

 ラオスの負債総額は現在、国内総生産(GDP)の約4分の3に当たる133億ドル(約1.5兆円)に上り、中国からの融資は合計47%に達している。専門家はラオスが中国共産党によってさらに締め付けられる可能性を懸念している。

 「自由時報」紙は20日、人口わずか700万人、国内市場も小さいラオスと昆明を結ぶ「高価な鉄道」建設は商業的論理を欠いており、ラオスにとっての潜在的利益はリスクを上回らないようだ、と報じた。

 他の途上国では既に、中国の融資で建設したインフラが不採算のため債務返済できず、中国の手に渡る例が相次ぐ。いわゆる「債務のわな」への懸念だ。

(翻訳・吉原木子)