(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 世界的に有名なブランドは、人権問題で新疆綿の使用を拒否したため、中国のネットユーザーに非難された。多くの中国芸能人は、影響が及ばないように急いで関連ブランドとの契約を切ったが、嵐は収まらなかった。数日前、スウェーデンの家具ブランド「イケア(IKEA)」が襲撃された際、小粉紅(注)は「全部壊しちゃえ」と脅した。

 イケアの公式ウェイボー(Weibo)を見れば、ボイコットが始まった当初、イケアのウェイボーにメッセージを投稿したのはごく少数のネットユーザーしかおらず、イケアが新疆綿の使用を拒否する声明を出したかどうかはわからなかったという。しかし、26日から大勢のネットユーザーがイケアの公式ウェイボーに殺到し、「中国から出て行け」、「二度とイケアに行かない、新疆綿をボイコットするなら、あんたらをボイコットするぞ」、「スウェーデン(イケア)は中国から出て行け」と非難した。

 短期間のうちに、イケアの公式ウェイボーに極めて非友好的な態度を示した、同様のメッセージが200件以上も寄せられた。

 これまで中国本土では、H&M、ナイキ、アディダス、プーマなどのブランドが軒並みボイコットされているが、これらはいずれも高い市場シェアを持つ靴や衣料品のブランドである。

 なぜ中国では、これらの信じられないような行動が起こったのか。

 その理由の一つは、米国、カナダ、欧州連合(EU)、英国が、新疆ウイグル自治区での人権侵害を理由に中国共産党幹部4名と1つの団体に制裁を科すことを発表したためである。これは、1989年の「六四天安門事件」後、EUが中国共産党に武器禁輸措置を講じて以来、人権侵害を理由に中国共産党に制裁を科すのは初めてのことである。

 また、国際社会は、中国共産党による新疆での人権迫害を長年にわたり非難してきたが、中国共産党は無関心を貫いてきた。そのため、中国共産党による残虐行為を阻止するため、国際社会の人権に関心を持っている各界の人々が行動を行った。今回の「新疆綿」は、中国共産党の「大動脈」だと言えるであろう。

 国連食糧農業機関(FAO)のデータによると、世界の綿花生産量は、中国、インド、米国がトップ3となっている。中国の綿花生産量の半分は海外のニーズに供給しており、「新疆綿」は中国綿の総量で86%を占めている。中国2019年の綿花輸出額は141億ドル(約1.55兆円)であり、国際社会が新疆綿を禁止した場合、中国は数百億の外貨収入を失うことになるという。

注:ウィキペディアより、小粉紅(しょうふんこう、シャオフェンホン)とは、中華人民共和国における1990年代以降に生まれた若い世代の民族主義者のこと。 この語は「ピンクちゃん」という意味で、1990年代以降に生まれた世代は、「未熟な共産主義者」であり「完全に赤く染まっていない」という意味で中国語で小粉紅とよばれる。

(翻訳・徳永木里子)