(左から右へ)曽国藩、李鴻章、劉銘伝(看中国/Vision Times Japan)

 ある北欧メディアは、多くの著名人に「どのような人が最も成功しやすいと思いますか」というアンケートを送りました。さまざまな回答が寄せられましたが、中には主催者の目に留まる回答がありました。それは、「厭きっぽい人は成功しにくい。厭きない人が成功しやすい」という回答でした。

 主催者は、この回答に賛同するかどうかを尋ねるアンケートを送り出しました。結果、100パーセントの回答者が「賛同する」と答えました。

 中国語では、この厭きない品質を「耐煩(ナイファン)」という二文字で表します。即ち、めんどうや煩わしさを耐えることであり、日本語に訳すと「辛抱強い」です。飽きっぽくてせっかちな人は、心が乱れやすく、目の前のことになかなか集中できません。一方、辛抱強い人は、目の前のことに根気強く集中していき、必ず成功に近づいていきます。

 清朝の重臣である李鴻章が編成した地方軍・淮軍(わいぐん)の発足当初、李鴻章は自分の先生に当たる曽国藩に三人を推薦して、謁見させました。曽国藩はすぐさま顔を出さず、庭にいる三人を陰でそっと観察していました。

 一時間が過ぎました。三人のうち、二人が焦る様子を見せ始めました。一人は部屋中をキョロキョロして見まわします。もう一人はきちんと庭に立っていますが、焦っている顔に苛立ちを隠せません。三人目の人だけが、依然として落ち着いています。一見普通な顔つきをしていますが、両手を後ろに組み、穏やかに空を見上げます。

 曽国藩はよく観察した後、「君が推薦してくれた三人のうち、ただ一人だけが役に立ちそうだ」と李鴻章に言いました。

 理由を尋ねる李鴻章に対して、曽国藩は髭を捻り、「大きなことを成すには、何よりも辛抱強さが大切だ。この三人のうち、一人だけが辛抱強く根気があって、将来は大器になるだろう」と微笑みながら言いました。

 曽国藩の判断が実に正しかったのです。彼が気に入った三人目の人は、後に淮軍の名将となり、清仏戦争で大活躍を見せた劉銘伝(りゅう・めいでん)でした。

 辛抱強い人は、すべての人、事、物の乱れを包容でき、妨害や邪魔を恐れることがありません。心の中の雑念や妄想を排除し、悩みを解消することが出来ます。ですから、どんな時も、人間としては辛抱が必要です。そうすることで、人間関係が良くなり、仕事も成功しやすくなります。

 大きな出来事があっても、常に冷静であるべきです。危機を目前にして、他人のせいにしても仕方がありません。心を静め、冷静に考え、慎重に対処することが根本的な方法です。「自我」を超越する高度に心をあげ、他人の立場から物事を考えることができたら、どんな時もきっと、気持ちが穏やかになります。辛抱強くなれば、成功する日も遠くないでしょう。

(翻訳・清瑩)