2018年5月20日、南京市の演説会に出席したBGIの代表取締役の汪建氏(イメージ:ネット写真)

 2018年南方科技大学の賀建奎准教授は、ゲノム編集された赤ちゃんの双子を作ったことで、学術界で多くの論争を巻き起こした。先日、深センの「BGI(Beijing Genomics Institute)」が58人の赤ちゃんのゲノム編集を行っていたという実名での摘発があったという。これに対して、BGI は素早く噂を払拭したが、国民の罵声を浴びた。

 12月8日、自称「CNGB(China National GeneBank/意訳:中国国立遺伝子バンク)江蘇運営センター長の王徳明」の実名で摘発したことが新浪微博(シンランウェイボー )に出回り、BGI は少なくとも58人の赤ちゃんのゲノム編集を行った」との疑惑が浮上した。摘発者はまた、賀建奎氏が赤ちゃんのゲノム編集で実刑判決を受けたのに対し、なぜBGI は同じことをしても法律に制裁されないのかと疑問を呈し、更に関連情報が公開されるとすぐに削除されたという。

 摘発者が投稿した写真によると、BGIの代表取締役の汪建氏は2018年5月20日、南京市中国共産党委員会書記の張敬華氏ら官員の立会いのもと、演説会に出席したという。

 中国本土メディア以前の報道を確認すると、2018年5月20日、南京市政府と江北新区はそれぞれ深センのBGIと協議を締結し、南京市中国共産党委員会書記の張敬華氏、BGIの代表取締役取締役の汪建氏が活動に出席し、調印に立ち会ったという。

 上述投稿は、一度中国国内のウェイボー(微博)で広がり、少なくとも31万人の注目を集めが、投稿された時点で、ウェイボーには、「BGI」に関する噂を払拭するための投稿があるだけだった。

 現在、BGIの声明が中国国内ネットにあふれており、CCTV(中国中央テレビ)のウェブサイトさえ声明を転載していることは特筆に値する。声明によると、「CNGB江蘇運営センター」は存在せず、BGI はヒト胚のゲノム編集を行ったするだけで、「赤ちゃんが生まれたわけではない」としたが、他の噂の内容については言及を避けていた。

 この話の内容は、実際には2017年に国際学術誌「ネイチャー」に掲載された学術論文からのもので、当該研究は米国のロシア系科学者が主導したもので、BGIは胚性幹細胞の研究に参加し、終始学術倫理を順守していたことを強調した。

 しかし、BGIの声明は中国国内の民衆に受け入れられなかった。一部のネットユーザーは、「その摘発の投稿を張り出しせば、どれほど衝撃的なものかが分かる」「今は誰でもデマを払拭できる。アッハッハ!時には泥棒が泥棒を捕まえろうと叫ぶからね」「今になって、否定しているのは全部事実である」とコメントした。

 2018年11月、香港で開催された国際学術会議で、賀建奎氏はゲノム編集を通じて、いわゆる「エイズ免疫」の双子の女の子を作ったと発表した。学術界や世論で波紋を呼び、広東省政府が緊急に介入して事件の調査を行った。2019年12月、賀建奎氏は深セン市裁判所で懲役3年と罰金300万元の判決を受けた。

(看中国記者・黎小葵/翻訳・藍彧)