(イメージ:納豆と豆鼓 / 看中国・合成写真)

 一休寺納豆をお土産で頂きました。食べてみると、中国の豆豉(とうち)と実によく似ていると思いました。一休寺納豆の包装紙にいただき方が丁寧に書かれていましたが、中華料理の豆豉の代わりにも使ってみました。なんだか親近感が湧いてきて、とても美味しくいただきました。

 豆豉は中華料理、特に四川料理や広東料理などに調味料としてよく使われ、また、刻んだものを回鍋肉や魚介類の炒め物などに入れたり、素材と合わせて蒸たり、味と香りを付けたりするのにもよく用いられます。

 豆豉の作り方を調べて見ると、「黒大豆を水で戻してから、蒸し、塩、麹と酵母の混ざったものを加え、発酵させた後、露天で水分を減らして仕上げます」と紹介され、そして、「実は日本の浜納豆や大徳寺納豆などの寺納豆もほぼ同じ手法で作り、これらは中国の豆豉が奈良時代に日本に伝わったものとされているのです」との紹介もありました。

 また異国で親戚に出会ったような気分になりました。

 中国で発祥し、日本に伝来した納豆は変化を遂げながら、日本の国民食になっています。時代に応じて納豆の製造法は伝統的なものから近代的なものに変わり、今、大量生産の要求に応えるため、純粋培養した納豆菌を用いる製造が主流になりました。納豆には骨にカルシウムを与えて強固にするビタミンK2などのビタミン類やミネラル、食物繊維、腸に良い乳酸菌、蛋白質が含有されていますので、骨にも良く、免疫力を高める健康食として高く評価されています。昨今、爆買いで世間を賑わせた中国人観光客は日本のお土産として納豆製品を多く買っており、特に納豆サプリは一番喜ばれるそうです。なんだか不思議な光景ではないでしょうか?

 一休寺納豆について、一休寺のホームページに以下のような紹介があるので、引用させていただきました。

 「当寺製造の一休寺納豆は、そのもと一休禅師の伝授にして数百年前より伝わるものであります。 応仁の乱で飢えに困っていた人々に禅師がその製法を伝えその先々で少しずつ独自の製法を取り入れ現在に伝えられております。当寺では蒸した大豆にはったい粉と麹を混ぜ発酵させそれから塩湯と共に納豆桶に移し約一年間天日干しにしたものです。肉食をしない僧侶にとり貴重なたんぱく質補給の栄養源としてまた保存食として珍重されてきました。その独特の塩見のきいた味は噛むほどに深い味わいが楽しめます」

 興味のある方はぜひとも寺納豆と中華の豆豉を食べ比べてみてください。そして、その話を家族や友人に話してみてはいかがでしょうか?

(文・一心)