最新の統計によると、中国の若者の失業率は依然として高水準を維持しており、今年の大学卒業生は最も厳しい就職氷河期に直面しています。一方、全国の多くの都市では、ネット配車サービス業界の就業人数が飽和状態に達していると発表されました。さらに、公式の背景を持つ専門家は、年金不足を理由に高齢者に再就職を勧めています。これらから、中国経済の衰退状況が浮き彫りになっています。

若年失業率の高止まりと新卒者の就職難

 中国の公式データによると、2024年の大学卒業生は2023年に比べて21万人増加し、過去最高の1179万人に達しました。これは、今年の大学卒業生がさらに大きな就職圧力に直面することを意味します。

 昨年8月、中国国家統計局は16歳から24歳までの失業率の発表を停止すると発表しました。今年1月17日、中国当局は再び若者の雇用データを発表したが、統計方法を変更し、都市に居住する若者層のみを対象としています。統計方法を変更前に公表された最新数値は、昨年6月に発表されており、その数値は21.3%に達し、歴史的な記録を樹立しました。北京大学の学者である張丹丹氏は、昨年3月の中国の若年失業率の最大値は46.5%に達し、公式発表の数字をはるかに上回っていると指摘しました。

フレキシブル・ワークも困難に直面

 近年、中国ではインターネット技術の普及に伴い、インターネットプラットフォーム経済を代表とする新たな業種が急速に発展し、これに関連する就業者数も急増しています。しかし、民間の分析によると、公式が主張する「新産業のフレキシブル・ワーク」は、実際には生産工具を自前で用意し、「997連続勤務」と呼ばれる朝9時から夜9時まで、週7日間働くことで、社会保険や医療保険がなく、インターネットプラットフォームの仕事に依存しているトラック運転手、ネット配車サービスのドライバー、宅配便配達員、外食配達員などの人たちです。

 広東省体制改革研究会の彭澎執行会長は、シンガポールの「聯合早報」とのインタビューで、「多くの失業者がネット配車サービスで生計を立てることを選択している。ハードルが低いためでもあり、選択肢が少ないためでもある」と述べました。現在、ネット配車サービス市場の飽和は中国の厳しい経済状況を反映しています。

 ネット配車サービスの個人事業者の経営状況は厳しく、多くの地域で1日あたりの平均受注数は20件以下、1件あたりの収入は約20元(約400円)であり、1日あたりの平均収入はわずか200元(約4000円)程度です。

 一般的に、「フレキシブル・ワーク」をしているのは、農民工や都市部で大学への進学が叶わなかった若い男性が主な構成員であると見られています。しかし、実際には彼らの多くは大卒であり、民間の統計によると、ネット配車サービスのドライバーの38.0%は大卒以上で、中には修士号を持つ人もいます。驚くべきことに、多くの破産した個人事業主や自営業者、一定の年齢を超えて解雇された企業のホワイトカラーや高級管理職も、生計を立てるためにこの業界に身を投じています。

35歳で解雇された北さん

 北さんは個人メディアを運営しています。彼は公開した動画で次のように述べました。「35歳で解雇された。今日も3社からの面接を受けたが、全部ダメだった。不採用の理由がすべて年齢だった。その中の1社は友人の紹介だったが、2000年代生まれの社長は『友人からの紹介でなければ、35歳という年齢は基本的に考慮しない』と言った。その社長のあの偉そうな態度を見て、非常に皮肉を感じた。私もかつてはAIプロジェクトのディレクターだったが、今では2000年代生まれの若者と競争しなければならないとは思わなかった」

リストラされた38歳の男性

 今年1月、北京の38歳の男性がリストラされた後、子供の出費と家賃の重圧に直面し、妻に内緒でデリバリーの配達をしていたことが妻にばれた動画がネットで話題となりました。この男性は仕事を見つけることの難しさを訴えました。「(求人側は)35歳以下を求めているが、私は38歳で仕事が見つからないのだ」

専門家などのコメント

 5月18日、中国国務院発展研究センターの元書記である馬建堂(ば・けんどう)氏は、中国人民大学の第1回深セン金融フォーラムで「長寿時代」の到来に順応し、労働市場の年齢差別を打破するべきだと述べました。彼は、「高齢者の統計基準を調整すべきであり、60歳から70歳の人々は『若い高齢者』とみなすべきだ。この年齢層の人々は体調が良好で、依然として就職や働く需要がある。70歳から80歳の人々は『中年高齢者』、80歳以上の人々は『老年高齢者』と呼ぶべきだ」と提言しました。

 中国のメディアはこの発言を報じ、「専門家が60歳から70歳の高齢者の再就職を支援すべきだと発言」と題した微博(ウェイボー)のハッシュタグを立ち上げました。この話題はすぐにネットユーザーの議論を呼び、多くはこの専門家の発言を嘲笑するものでした。

 あるインフルエンサーは、「現在、一般のサービス職でさえ35歳以下を要求している。今の専門家は、本当にそんなに多くの職があると思っているのか?」と述べました。

 別のインフルエンサーは、「年金が足りないから60歳から70歳の人も自分で生計を立てる必要があると直接言えばいい。そんな遠回りな言い方をする必要はない」と述べました。

 ネット投資に従事している張田さん(仮名)は、ボイス・オブ・アメリカとのインタビューで、普段はネット配車サービスで通勤し、フードデリバリーもよく利用していると話しました。昨年の5、6月から、ネット配車サービスのドライバーやフードデリバリーの配達員が中年の人が多いと感じました。同じ時期に、広州や上海などで仕事をしているとき、図書館などの公共施設に憂い顔をした中年の人々が座っているのをよく目にしました。彼らはスマホで(中国最大級の求人モバイルアプリ)Boss直聘(ズピン)を見て仕事を探しています。

 中国のソーシャルメディア上の多くの動画で、北京、広州、深センなどの公共図書館が失業者の一時避難所となっている様子が映し出されています。そこには無料のエアコン、お湯、充電コンセントがあり、失業者に便利な環境を提供しています。

 かつて企業内部で管理職を務めていた多くの社員がリストラされた後、家族にリストラされたことを知られたくないため、毎朝早くから仕事用のカバンを持って出かけ、出勤しているふりをして、実際には会社ではなく図書館に隠れて時間を過ごしています。この現象はネット上で話題となり、中国が全面的なリストラ時代に突入したことを嘆く声が上がっています。

(翻訳・藍彧)