中国の西南部に位置する貴州省では、2月下旬に200以上の山火事が急速に広がり、貴州省のほぼ半分を焼き尽くしました。しかし、公式には一切触れられず、公式メディアもそのような事態が起こったことを無視しています。この山火事の燃え方はいくつかの奇妙な点があり、それは中国共産党政権の失敗の兆候を完全に露呈していました。では、貴州省の山火事は人災なのか、それとも天災なのか?その背後にはどのような内幕が隠されているのでしょうか?

貴州省の山火事、公式メディアが報道しない理由

 米国在住の時事評論家である唐靖遠氏は、新唐人の「菁英論壇(エリート・フォーラム)」番組で、中国の公式メディアが貴州省の山火事を報道しなかった理由は3つあると述べました。

 1つ目の理由は、おそらく旧正月と関係しています。年末年始の旧正月期間にネガティブなニュースを制限し、和やかな雰囲気を演出する伝統があります。これは慣例です。また、習近平氏が政権に就いてから、特にこの慣習を強調しています。たとえば、2019年末から2020年初めにかけて、新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)の流行が武漢市で発生し始めた際も、習近平氏は旧正月期間の和やかな雰囲気を特に重視していたため、情報の隠蔽が行われ、結果として世界中でパンデミックが拡大することになりました。

 2つ目の理由は、中国当局が非常に厳しい経済的苦境に直面していることです。旧正月前に、株式市場が雪崩のような暴落を経験しました。その後、中国当局は国有企業に引き継がせ、さらには行政命令で「株は買うだけで、売ることは許さない」とまで強制し、株式の売買を制限しました。これにより、株式市場が何とか旧正月前に維持されました。株式市場の苦境はほぼ人災であり、このような時期に貴州省で突然大規模な自然災害が発生し、自然災害と人災が重なり合うことになり、これは中国共産党にとって受け入れがたいものです。

 3つ目の理由は、今回の貴州省の山火事について、現地政府の役人たちも予期していなかった可能性があるということです。中国人が旧正月前後に先祖供養のためによく冥銭(めいせん)を燃やす習慣があり、それが火事につながることもあります。そのため、当初は現地政府の関心を引かなかったのです。しかし、今回は過去とは異なり、最初から火事が多発し、そして一度燃え出すと特に激しくなり、すぐに広がりました。火災の規模が拡大すると、現地政府は恐れをなして報道を封鎖し、最終的には現在のような結果になってしまいました。

大規模なインフラ建設で生態系を破壊

 唐靖遠氏が「エリート・フォーラム」で述べたところによると、貴州省は温家宝時代から大規模なインフラ整備を行い、経済を牽引しようとしていました。貴州省は地勢が険しい山岳地帯であり、かつては交通が遅れ、より孤立している地域でした。

 大規模なインフラ整備のために、貴州省は多くの高速道路や大規模な水利施設を建設しました。これらのインフラ建設によって引き起こされる1つの結果は、地域の水資源システムやさらには気候に大きな影響を与える可能性があるということです。

 貴州省の公式情報によると、2022年から2023年までの夏、秋、冬の3つの季節でわずか1回の雨しか降らず、これは非常に稀な現象であり、当時は「百年に一度の干ばつ」と呼ばれていました。この干ばつは2023年の3月頃まで続きました。

 今年の貴州省の山火事発生後、公式の報道によると、2023年の秋から今年の初春までの降雨量が例年の同時期よりもはるかに少なかったとされています。つまり、再び干ばつが発生しました。これらの大規模な建設は土壌と水を破壊し、土壌の水が流失すると、山岳地帯の土壌が一定の湿度を維持することができなくなり、乾燥してしまいます。これが山火事の蔓延にとって条件を溜めることになりました。

 中国語「大紀元時報」総編集長の郭君氏は、新唐人テレビ「エリート・フォーラム」番組で、中国の気候は2008年頃から大きく変化し、主に降雨帯の北上と西南部の干ばつが深刻化していると述べました。これにより、北部地域では降水量が増加し、最近の洪水の例として河南省、河北省、黒竜江流域、内モンゴル自治区などが挙げられます。一方で、西南地域では降水量が減少し、雲南省、広西チワン族自治区、貴州省、四川省、重慶市、さらに広東省の一部地域で干ばつが発生しています。

 郭君氏は、中国西南部の複数の省、特に貴州省には典型的なカルスト地形(石灰岩の地形)があると述べました。カルスト地形の最大の特徴は、地下の洞窟が発達している一方で、地表の土壌の水が保持されにくいことです。カルスト地域の地下水循環システムは非常に脆弱です。貴州省は過去10年間に大規模な建設を行い、ほぼ2000基のダムが建設されました。これにより、ダム下流地域の地下水位が急激に低下し、結果として土壌や大気中の水分がより少なくなり、土地がより乾燥化しました。これは山火事が発生しやすい重要な原因の1つであるかもしれません。

 独立系テレビプロデューサーの李軍氏は「エリート・フォーラム」で次のように述べした。貴州省は非常に湿気の多い地域であり、湿気が多すぎるため、貴州省の人々は特に辛いものをよく食べるのです。したがって、貴州省で山火事が発生することは本当に信じられないことだと思います。過去と比較して、貴州省の自然環境は大きく変化したはずです。

貴州省の山火事は中国当局終焉の兆し

 大紀元時報のシニア・エディターである石山氏は、「エリート・フォーラム」番組で次のように述べました。権威主義体制の中で、その権力構造上、下層階級に問題が発生すると、上層階級はまずそれを隠蔽しようとし、しかし、それ以上隠蔽できなくなると、全国のリソースを使い、それを狂ったように鎮圧するという特徴があります。最後には、問題が収拾できなくなり、中央政府も手を打つことができなくなる可能性があります。

 実際、歴史上多くの王朝末期には、同様の事象が発生してきました。特に民衆の反乱や災害が起こると、地方政府は最初に隠蔽しようとします。例えば、明末の陝西省や河南省などの地域での干ばつは、深刻な災害を引き起こしました。地方政府は最初に隠蔽しようとしたが、最終的に仕方なく北京に報告する時には、すでに救済物資を送っても間に合わなくなったのです。なぜなら、災害は既に拡大してしまいました。

 現在の中国の状況は非常に似ています。もちろん、貴州省の大規模な山火事が政権全体を一気に崩壊させる可能性はないが、確かにそのような兆候があります。権威主義体制が末期的な兆候を呈すると、上と下の勢力の闘争、中央と地方の闘争が多くの問題を引き起こすということです。

(翻訳・藍彧)