中国には、「鬼城」と呼ばれるマンション群や地域が大量に存在しています。鬼城はゴーストタウン(英語: ghost town)を意味する中国語で、未完成で放置されたり、入居者が集まらずに廃れたりしたマンション群や地域のことを指します。これらの「鬼城」は本来、豪華な別荘、高級住宅アパート、それに商業施設、ショッピングセンター、美しい公園が組み合わさって、快適な生活環境を作るために計画されていました。しかし、これらの「鬼城」は様々な理由で、建設が完了した後、ほとんど人が訪れず、徐々に廃墟化しています。


 中国の不動産は非常に長い間、経済の支柱の1つとして存在し、投資規模が大きく、従業員が多く、幅広い分野にわたり、全国的に広がるなどの特徴があります。過去数十年間、中国の不動産市場は急速な成長と爆発的な拡大を経験してきました。多くの人々は中国の不動産業が非常に利益の出る産業であることを信じており、将来的により高い利益を得るために大量の資金を不動産に投資してきました。

 中国不動産業の急速な成長は2003年から始まりました。その時、中国当局は一連の住宅購入を奨励する政策を打ち出しました。これには初めての住宅購入者向けの優遇措置や税金の免除などが含まれており、これらの政策は多くの投資家を不動産市場に引き寄せました。

 それ以降、中国の不動産はクレイジーなスピードで成長しました。二、三線都市から一線都市まで、地元政府は投資を求めて、大量の資金を投入し、高層ビルが立ち並ぶようになりました。

 十数年のこのような発展を経て、中国の不動産市場は既に供給過剰となっています。中国国家統計局の賀鏗元副局長は2023年中国実体経済発展大会で、「現在、中国には30億人分の空き家がある。人口は14億人しかいないので、全部には住みきれない」と述べました。中国住宅・都市農村建設部の仇保興副部長は2022年中国都市高品質発展シンクタンクフォーラムで、「空室率が15%に達し、一部の地域では25%または30%に達している」と述べています。

 このような背景の中、中国では多くの「鬼城」が出現しました。現在、ネット上では中国の「鬼城」に関する動画が多く投稿されています。これらの動画の中の高層ビルや別荘はいずれもとても美しく豪華です。しかし、誰かが生活しているような痕跡は全く見当たりません。一部の場所では雑草が生い茂り、廃墟と化しています。

以下は中国の有名な「鬼城」です

1. 南山公館

 重慶市南山の山頂にある別荘群は、10年以上放置されています。この別荘群は過去に3つの開発業者が引き継ぎましたが、最終的にはいずれも様々な問題で失敗に終わりました。他の「鬼城」と同様に、南山公館の現状は決して楽観的ではありません。別荘の外壁には苔が生え、乾燥した後には汚れがついてしまい、非常に汚い感じがしています。また、周りの環境も非常に悪く、雑草が生い茂り、満身創痍という言葉しか形容できません。2017年にここの十数軒の別荘がネットオークションにかけられ、何度も値引きを繰り返した結果、最終的に50%の価格で1軒が売れました。つまり、この別荘群には1世帯しか住んでいません。

2. 京津新城

京津新城は天津市宝坻区に位置する別荘群です。天安門から93キロ、北京首都国際空港から88キロ離れています。2006年に国務院が承認した天津市の11つの新城の一つです。天津市政府が2009年1月に承認した「天津市都市・農村総体計画」によると、2020年までに53平方キロメートルのニュータウンが計画されています。ニュータウンには8000棟の豪華別荘が計画されており、投資総額は200億元(約4180億円)に達し、20 ~ 30万人を収容できる見込みで、かつてアジア最大の別荘群と言われていました。当初の目的は京津新城を中心として、天津と北京のつながりを促進することでした。しかし現実は違い、ここは想像されていたような繁華な地域にはなっていません。夜になると、ほとんどの地域で暗い街灯しか見られず、住宅区では電気がついている家はほとんどありません。周辺の商店はすべて閉まっており、活気が全く感じられません。現在、京津新城の入居率は10%未満であり、一部の建物は手入れされていないため、雑草に覆われ、まるで廃墟のようです。京津新城が「鬼城」となった主な原因は、交通の不便さや、周辺に医院、市場、学校などの施設が不足していることにあります。

3. 乳山銀灘

 乳山銀灘は山東省威海市に位置しており、国家4A級景勝地に属しています。東から西へ20キロ以上の海岸線があり、銀白色の細かい砂が柔らかく快適です。その恵まれた景観のおかげで、不動産業者も多く集まり、高級別荘が次々と現れました。しかし、今まで発展してきましたが、乳山銀灘が人々に与える第一印象は「鬼城」です。数多くの高級別荘が林立しているが、人はまばらです。ここの住居率は10%未満であり、数十の別荘しか電気をつけず、夜は真っ暗です。

4. 蘭州新区

 蘭州新区は甘粛省蘭州市北部に位置する国家級新区です。甘粛省は2010年12月に蘭州新区を設置しました。2012年8月、国務院はこれを国家級新区に指定し、蘭州新区は西北地区初の国家級新区になりました。初の国家級新区として、蘭州新区には大きな期待が寄せられました。地元政府は大量の開発業者を募り、多くのプロジェクトを立ち上げました。しかし、甘粛省自体の経済条件が相対的に立ち遅れているため、他の先進地域と比較することはできません。また、蘭州地区は水資源が不足しているため、蘭州新区を訪れる人が少なく、広い道路に車もあまり見かけません。今は徐々に「鬼城」になっています。

5. 牟山湖別荘群

 一部のネットユーザーは牟山湖別荘群を寧波で最初の「鬼城」と称しています。何百もの別荘に誰も住んでいないことがその理由です。空撮で見ると、それらの別荘は墓石のように整然と並んでおり、多くのネットユーザーは、ここが墓地のようだと述べています。現在、この別荘群には雑草が生い茂り、荒れ果てています。周りの村人たちは別荘の中で家禽を飼育しています。あるネットユーザーが投稿した動画によると、別荘の周りや中に羊の糞が積もっていることが分かりました。ここが廃墟となった理由は、台風で牟山湖の水位が上がり、新築の別荘が浸水したため、購入する人がいなくなったからです。一方、開発業者の経営不振により、資金が途絶えてしまい、開発が途中で停止されたという説もあります。いずれにせよ、この別荘群は現在、廃墟になっています。

(翻訳・吉原木子)