東京警視庁(atgw, flickr, CC BY 2.0

 東京警視庁は7日、海外の臓器移植の仲介を長年行ってきたNPO法人「難病患者支援の会」の理事長である菊池仁達容疑者を、臓器移植法違反の疑いで逮捕した。

 複数のメディアによると、菊池容疑者は臓器移植を必要とする日本人患者に、政府の認可を受けずに、中央アジアの国で臓器移植を受けさせる仲介サービスを通じて、高額な手数料を得ていたという。

 「難病患者支援の会」は、2007年に東京都で登録されたNPO法人で、横浜市に事務所がある。NPO法人の最近五年間の報告によると、2017年6月~2020年5月までの3年間における唯一の事業対象国は中国だという。これは、この3年間で紹介された日本人患者全員が中国で臓器移植を受けたことを示している。3年間の事業収益は8,800万円で、直近5年間の事業収益の61%を占めている。

 同NPO法人のサイトには、2021年1月8日付けの「渡航移植費用の構成(高額となる理由)」というページで、次のように書かれている。

 「イスタンブール宣言(WHO)では『当事国患者の移植機会を奪う移植ツーリズムは禁止すべき』との勧告が出されています。(勧告に法的拘束力は有してない)この観点からも安全・確実に移植手術が受けられるのであれば、臓器需要が多い先進国より新興国の地方都市の方が他の待機患者へ及ぼす影響は少なく廃棄予定の未利用臓器の提供を受けられる可能性が高いです。」

 これは、国際医学界で提起されているイスタンブール宣言の内容を知っていながら、法的拘束力はないと強調していることを示している。

オフィス中(左)、臓器移植現場(中)、ロシア(右)にいる菊池容疑者(菊池容疑者のFacebookより)

 2006年以降、複数の国際人権団体が中国で大規模な臓器摘出犯罪が発生していると暴露しているが、これらの犯罪は中国共産党政法委員会が協調し、軍病院を中心に軍と警察の厳重な監視の下で行われている。このような中国の状況を考えると、このNPO法人が紹介した日本人患者が中国の病院で臓器移植を受けることは、人権宣言を完全に無視している。

 日本の臓器移植法の正式名称は「臓器の移植に関する法律」で、「臓器移植法」とも呼ばれている。公表日は平成9年7月16日だ。

 第十一条 (臓器売買等の禁止)

 3 何人も、移植術に使用されるための臓器を提供すること若しくはその提供を受けることのあっせんをすること若しくはあっせんをしたことの対価として財産上の利益の供与を受け、又はその要求若しくは約束をしてはならない。

(文・黎宜明/翻訳・吉原木子)