中国海軍クズネツォフ級空母「遼寧」(日本防衛省・統合幕僚監部より)

 中国が世界初の知能型無人システム母船である「珠海雲」の進水式が5月に広州で行われたと、中国の公式メディアが5月下旬に報じた。AFP通信は7日、中国の公式報道では、戦闘艦ではなく科学研究船であることが強調されているが、その軍事機能は明らかであると報じた。

 中国の公式メディアによると、「珠海雲」は全長88.5メートル、幅14メートル、排水量は約2000トン、最大速度は18ノットで、広い甲板を持っていることから、空・海・潜水用無人システム機器を数多く搭載することができ、特定のターゲットに対し三次元観測を実現できる。南方海洋実験室が構想し、中国艦船設計研究センターが建造の総責任者になった。

 しかし、AFP通信などによると、「珠海雲」は、軍事目的の無人航空機(UAV)を発射するための強力なプラットフォームとしても機能する可能性があるという。本船は、海上試運転を経て、年内に運用を開始する予定だという。

 AFP通信はまた、スマートシステムや、リモートコントロールと自律航行機能を備えた「珠海雲」は、目標探索などの軍事用途を実行させることができると報じた。「珠海雲」の広域監視能力と地理的位置の共有の可能性により、中国海軍が太平洋と南シナ海の敵船やその他の目標に対応できるようになる。この役割は、台湾への侵攻を含め、将来起こりうる紛争において非常に重要である。

 一方、中国メディアの環球網は4日、中国の空母「山東」の甲板上に、一群の無人機が並べられていたことを紹介する記事を配信した。

 米軍事サイト「ザ・ドライブ」は2日、それらの無人機は、機体の形などからして、可能性があるとして2機種があるように見えると報じた。1つは四川省成都市に本社を置く中国縦横が開発した「CW-20」で、もう1機種の可能性があるのは、北京市に本社を置く中国電子科技が開発した「翔翼CSC-005」だ。 

 「CW-20」と「翔翼CSC-005」は高性能機とは言えず、「山東」に配置したのは、艦隊内での予備部品や医療用品など、限られた重量や数量の荷物を輸送することを想定している可能性がある。

 「山東」の甲板に並べられた小型無人機は、中国艦隊が小型無人機による攻撃を受けることを想定して、実証実験または演習の際の「仮想敵」として用いられる可能性があるという。

 5月上旬から、中国の過去最大規模の空母編隊である「遼寧」空母打撃群が、西太平洋で訓練を実施している。「遼寧」号は台湾東部の花東海岸に隣接して航行しており、同じ時間に西太平洋では米海軍の空母2群も活動しており、外部の注目を集めている。

(翻訳・藍彧)