政治成果のために森林を農地に戻して農民の経済源を強制的に切り捨てている。(ツイッター動画のスクリーンショット)

 最近の東欧の地政学的紛争による食糧危機が深刻化する中、中国の各地方政府が森林を農地に戻して耕作する社会運動を開始している。

 ソーシャルメディアに投稿された写真や映像には、各地で政府がこれまで使っていたバスケットボールのコートや公園の広場、さらにはコンクリートの道路などを、農地に戻すための対象として使い、道路に土を敷いて野菜作りのための耕作地にする様子が写っている。

  今年3月上旬、中国共産党の習近平総書記は食糧安全保障を何度も呼びかけ、食糧増産に向けて「塩田の開発・利用能力の活用」など複数の提案を行った。そんな中、多くの地方政府が耕地面積を増やすよう指令を出しているが、この呼びかけによって多くの農家の果樹園や林地が被害を受け、コンクリート道路を使って稲の苗を植え始めた地域もある。

 ウェイボー(微博)のネットユーザーからは、「コンクリート道路でサツマイモを栽培するなんて、奇談だ。政府は農民の生計をまったく顧みず、果樹を伐採しサツマイモを植え、数年前は農地を森林に戻す作業を行っていたが、今は政治成果のために森林を農地に戻して農民の経済源を強制的に切り捨てている。これほど馬鹿げた政府がいるのだろうか」とコメントした。

 業界では、中国共産党が食糧増産をこれほど切実に促進しているのは、食糧が本当に問題を起こしたのではないのかと考えている。

 国連食糧農業機関は11日、ロシアとウクライナの穀物作物の輸出損失により、国際穀物・石油取引市場で品不足に陥る可能性が高まっていると指摘した。

 ボイス・オブ・アメリカは、中国市場は毎年、海外から大豆、トウモロコシ、小麦などの製品を大量に輸入する必要があると指摘した。2021年、ウクライナは米国に代わって中国の最大のトウモロコシ供給源となった。中国の税関のデータによると、中国は昨年、ウクライナから主に飼料加工用として824万トンのトウモロコシを輸入しており、中国のトウモロコシ輸入量の30%がウクライナからのものであることがわかる。

 コメンテーターの何旭氏は希望之声とのインタビューで、今年の第20回共産党大会で習近平政権が食糧増産を呼びかけた現状は、トイレ革命の時と似ており、各地方政府が政治的成果のためにおかしな動きを連発しているが、やはり本質的には虚偽であると語った。このままでは、中国の食糧危機はますます深刻化し、多くの資金が浪費され、中国社会はより悲惨になるばかりで、やがてもっと深刻な社会問題を引き起こす可能性が高い。

(翻訳・藍彧)