米航空宇宙局(NASA)の1KW原子炉(NASAより)

 米航空宇宙局(NASA)とアイダホ国立研究所(INL)は19日、月に原子力発電所を建設するアイデアを募集すると発表した。この原発は、恒久的に居住可能なステーション用の太陽に依存しないエネルギー源になる可能性がある。今後10年間で電力供給問題を解決することを目指している。

 デイリー・メール紙の報道によると、NASAと米国エネルギー省 (DOE) のアイダホ国立研究所は19日、月に動力源となる原子炉を建設するための提案を正式に公募し、将来的には火星にも同様の原子炉を建設できると期待しているとのこと。

 NASAによると、月に人間が安定して存在することで、火星を次の目標とすることが可能となる。原子炉の稼働を別の惑星の環境で再現することが可能となり、技術の発展にもつながる。 

 アイダホ国立研究所のプロジェクト責任者セバスチャン・コルビシエロ氏は、月面の信頼性のある強力なエネルギーは、人類による宇宙探査における重要な一歩であり、我々はこの目標を達成する見込みがあると強調した。

 NASAの宇宙技術ミッション部門のNASA宇宙技術ミッション理事会のジム・ロイター副理事長は、「月、火星、地球のための電源アーキテクチャを提供するプログラムにおいて、原子炉プロジェクトは大きな助けになると考えている。火星、さらには地球上での原子力利用の革新にも貢献する」と述べた。

 原子炉は地球でつくられ、その後、月に運ばれる見込み。システムには、ウランを燃料とする炉心、熱を電気に変換するシステム、加熱制御システム、分配システムが含まれ、原発の出力は10年間にわたって少なくとも40キロワットでなければならない。

 原発は、人間の介入なしに自動的にオンとオフの切り替えができ、着陸モジュールからの操作が可能で、輸送に適応している必要がある。輸送条件として、原子炉は高さ4メートル、直径6メートルのシリンダーの規格に適合しなければならないという。 

(翻訳・吉原木子)