(ツイッター動画のスクリーンショット)

 中国山西省ではこのほど、集中豪雨により大規模な地滑りが発生し、2,800年前の古城の壁も一部崩壊した。また、地元の鉄道橋の橋脚が激流で流され、列車が「宙吊り」になった。さらに、石炭の産地でもある山西省で27の炭鉱が洪水のために生産停止を余儀なくされ、当局の冬の電力計画に深刻な影響を与えると懸念されている。

 2日の夜から、山西省の多くの地域で雨が降り始めた。中国中央テレビ(CCTV)によると、5日午前6時30分頃、平遥古城(へいようこじょう)の壁は約25メートルに及ぶ崩壊が見られた。現在のところ、死傷者は明らかになっていない。

 山西省中部の平遥県にある平遥古城は、約2,800年の歴史を持つ中国5A級(最高レベル)の観光地であり、中国の重要な文化財の一つである。また、1997年にユネスコの世界文化遺産にも登録されている。

 6日に祁県(きけん)の子洪ダムが放水したため、多くの村が浸水し、8つの村の約15,000人が深夜まで安全な場所への避難を余儀なくされた。また、祁県から東観鎮に向かう途中で昌源河に架かる鉄道橋の橋脚が1本激流で流され、列車とレールが宙に浮いた状態になり、修復工事が続いている。当局による死傷者の発表はまだ出ていない。

 中国共産党の機関紙「人民日報」によると、山西省の状況は非常に深刻である。深セン市のメディアは「約40年ぶりの大洪水」と表現した。運城市は5つの村で8,000人以上が避難を余儀なくされた。介休市(かいきゅうし)松安村は最大水深2メートルにまで浸水し、2,000人近くが被災した。また、咸陽河付近の鉄道も非常事態となり、地元の農地が冠水し、2,000頭以上の羊を避難させる必要がある。

 山西省の炭鉱に詳しい学者は、「山西省は元々地質災害に見舞われやすい。長年の炭鉱採掘の結果、地下に多くの空洞ができ、大雨が降るたびに地盤が緩んでしまう。そのため、土石流や地滑りなどの災害、さらに水害が集中的に発生している」と、ラジオ・フリー・アジア(RFA)に明かした。

 実は山西省で起きた災害は、山西省に影響を及ぼすだけでなく、近い将来、人々がいつも通りに電気を使えるようになるかどうかに密接に関係しているという。

 90時間近く続いた集中豪雨の影響で、4日午前8時まで、山西省で27の炭鉱、99の非炭鉱、7社の危険化学品企業が運営停止。工事中の231のプロジェクトも中止となり、74の観光地が閉鎖された。

 中国紙「21世紀経済報道」によると、山西省は中国最大の石炭産出省であり、省内の600以上の炭鉱で生産されている。山西省エネルギー局が9月6日に発表した「省内炭鉱の生産能力に関する報告」には、取りやめになった炭鉱(復旧可能な炭鉱)を含め、合計682の炭鉱が掲載されている。国家統計局によると、山西省は昨年、石炭生産量が10.63億トンで中国史上2番目に年間10億トン以上の原炭を生産した省となり、内モンゴル自治区を抜いて、国内トップの石炭生産省となった。

(翻訳・徳永木里子)