香港の公立学校 (画像出典:香港情報サービス部)

 中国では新学期が9月1日から始まる。香港教育局の最新の数字によると、7月末時点で香港の公立小・中学校では6.1万人の欠員が出ており、一部の学校では多くの教師が新人に変わった。消えた生徒や教師はどこへ行ってしまったのだろうか。

 香港教育局が8月に発表した「学生就学統計報告2020/21」の数字、及び学校の生徒の欠員状況に関する参考データによると、香港の小学校の生徒の流失率は約1.6%、中学校の流失率は2.84%に拡大していると予測されている。7月末時点で、公立の小・中学校での欠員数は61,333人に達している、とラジオ・フリー・アジアが報じた。

 香港中学校校長会が2月に発表した調査結果によると、2020年7月から11月の間に中退した中学生の数は、2019年の同時期に比べて2割以上増加しており、海外移住や海外留学をした学生の数は2019年に比べて倍増している。

 新学期の生徒の流失は、香港国家安全維持法(国安法)の施行に発端した空前の移民ブームと密接に関係しており、多くの校長先生がこの状況に悩まされている。教師歴10年のある先生は、移住する前に勤めていた学校では17人の先生が辞職し、30人の先生が新たに採用されたと語った。

 同教師は自分が辞職した理由を挙げた。反送中運動(2019年−2020年香港民主化デモ)の後、教育局が教師の職を取り上げる事件が何度か起こった。それ以来、当局はしばしば、教師が「職業倫理」を守り、「容認できない」行動をとらないようにする必要性を強調してきた。しかし、「容認できない」行動について明示せず、教師が(事態を)見分ける能力があるべきとだけ言っていた。

 「今日の発言では、(中国共産党の)レッドラインを踏むものがあるだろうか?生徒に弱みとして密告されるのではないか?私が管理職としての役割を果たす際、同僚がレッドラインを越えたり、苦情を受けたりして、学校側が会議を開いた場合、どのように対処すればよいのだろうか。同僚を助けるのか、学校を救うのか。第一線の教師として、また学校の中間管理職として、教師と生徒がガードしている状況には直面したくない、教師が訴えられた時にどう対処していいかわからない」と、同教師が語った。

 教育局のケビン・ヨンユンフン局長は1日、「香港人には移民・移住の自由があり、教育局はそれを止めることはない」としながらも、「香港社会は国安法の下で安定している」と宣言し、国民に移住する前によく考えるよう呼びかけた。

(翻訳・徳永木里子)