(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 子供のころのことをよく思い出します。ご飯を食べたり、道を歩いたりする時、あるいは目上の人と話をする時は、何か不躾なところがあれば、じいちゃんとばあちゃんはすぐに躾けてくれました。「しきたりがないと、何事もうまく行かない」との言葉は、じいちゃんばあちゃんの口癖でした。そんな厳しいじいちゃんとばあちゃんは、時々、様々な面白い物語で、因果応報の道理と良心の大切さを私たちに教えてくれました。

 学校に通ってから、「しきたりがないと、何事もうまく行かない」というじいちゃんばあちゃんの口癖の意味を、初めて知りました。定規やコンパスがないと、自分が書いた方形や円形は、どうも違和感があってなりません。同様に、礼儀や躾などの「しきたり」は、まさに人間における定規やコンパスです。マナーを守らない人は「教養のない人」と呼ばれますが、その「教養」はまさに子供の頃に教わった礼儀や躾のことなのです。

  物心がついてから、じいちゃんばあちゃんが口伝えで、心から心へと伝えていたのは「伝統文化」なのだと気づくようになりました。五常の徳「仁義礼智信」、人と接する時の「温良恭倹讓」、そして「国の四維(註)」と呼ばれる「礼義廉恥」もそうです。じいちゃんばあちゃんがよく言うこれらの「しきたり」は、伝統文化そのものなのです。そんなしきたりに従って育った人は、素直で、穏やかで、大らかで、周りを和やかにする人ばかりなのです。

 数十年もの月日が流れ、私もじいちゃんばあちゃん世代になりました。しかし、「しきたり」を守る若者が極端に少なくなっています。子孫や目下の人は素直、善良と寛容から遠ざかり、チンピラや輩みたいに振舞っています。私のじいちゃんとばあちゃんがこんな人たちを見たら、きっと激怒していたでしょう。「しきたり」はどこに行ってしまったのでしょう?

 実は、「しきたり」は中国共産党(以下、中共)によって破壊されました。

 そんな中共の「党文化」に慣れている人は、「中共が制定した法律や規則が『しきたり』じゃない?中共が起こした運動が社会主義の『しきたり』を創ったんじゃない?」と反論するでしょう。しかし、中共が制定した法律や起こした運動は、古くから伝わってきた「しきたり」を破壊し続けてきました。中共は、伝統文化の教育を深く受けた社会のエリートたちを排除すべく乱暴に扱い、さらには酷刑で殺害してきました。人性を壊滅し、文化を破壊し、人々の心を歪めるよう働きかけているのです。正義を守り、伝統文化の教えを従って良い人になりたい人は、中共の独裁の犠牲者になります。中共の虚言、悪質と闘争の思想におもねる人は、中共の抜擢を受けます。中共が起こした様々な運動も、実は、外見だけの法律や規則によって起こされたのです。

 こんな中共の「偽、悪、闘」のルールは決してしきたりではなく、「潜規則」なのです。

 さて、「潜規則」とは何でしょう。人間の欲望と貪欲を抑制し、善心と良知を導く「しきたり」と正反対に、中共の「潜規則」は、人間の善心と良知を破壊し、個人の目先の欲求を駆り立てる非生存性を助長するので、破壊的です。「しきたり」に従う人々は、善行を行ない、徳を積むので、幸福が訪れます。一方、「潜規則」に溺れる人々は、悪行三昧になり、最終的にその報いとして、天罰が下ります。

 「潜規則」を主張する中共は、「しきたり」を恨んでなりません。それは、「しきたり」が中国五千年の文明が生み出した結晶であり、人々を正しく導くので、人類を滅ぼすことを目的としている中共とは相反するからです。そんな企みで伝統文化を破壊し、道徳を踏みにじり、人々を尽きることのない欲求に苛まれるよう陥れるのです。これは人々が悪事を重ねるように中共が仕組んだ罠です。その罠にかかり、悪事をやりつくした人間は、やがて悪行の報いを受け、壊滅の終焉へと向かいます。これが中共の目的です。

 そんな中共の本質を見抜き、人々を狂わせる中共の「潜規則」から離れるべきです。それにはまず真相を知ることです。そして闇に埋もれてしまっている大切な「しきたり」を、再び守るようにしてこそ、伝統文化を復興させられ、神様が導く道を歩き、明るい未来を迎えることができるのです。

註:国の四維とは、中国・春秋時代の政治家・管仲が提唱する、国家を維持するのに必要な四つの大綱。

(文・如一/翻訳・常夏)