(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 昨日(4月9日)、パソコンを立ち上げて、インターネットにアクセスしたら、非常に目立つニュースが飛び出してきました。「鳩山元首相、米国が北京五輪不参加呼びかけ報道に見解「五輪の政治利用すべきでない」」というタイトルでしたが、タイトルだけ見た第一印象は、「これは中共の戦狼報道官の言い方に似ている」と感じました。記事は短いので、ざっと目を通したあと、鳩山さんのツイッターに入って原文を呼んで見ました。原文も短いので、一回全部読み上げます。その後、米国とその同盟国の北京五輪へのボイコット及び鳩山さんの見解についての私個人の考えを述べます。

 鳩山さんの原文は、「米国がウィグルにおける中国の人権問題などを理由に北京五輪への不参加を同盟国に呼びかけるという。世界が憎しみ合っていてもスポーツを通じて平和をもたらそうと言うのが五輪の一つの目的ではないか。五輪の政治利用はすべきでない。自民が五輪の開催に拘るのも選挙に勝ちたいと言う政治利用である」。これが原文の全部です。短いですが四つの内容が含まれています。鳩山さんの文章についての感想は、米国とその同盟国が北京冬季五輪に共同ボイコットの現状を簡単に紹介してから述べます。

 2022年北京冬季五輪は10ケ月後に行われますが、ウイグル人権侵害や人種差別、香港に対する締め付けを理由として、米国が北京冬季五輪への共同ボイコットを各同盟国と協議しているとの報道がありましたので、4月6日の記者会見で、ある記者が「同盟国との共同ボイコットを検討するつもりはあるか」と米国務省のネッド・プライス(Ned Price)報道官に質問したのです。質問に対してプライス報道官は、「その可能性はないとは言えない、確かにわれわれが話し合いたいと思っていることだ」と回答しました。このことが報道された後、いろんなメディアに問い詰められたので、プライス報道官はツイッターで、「米国には北京五輪へのボイコットに関して最終的結論はない」と強調しました。

 その後、イギリスのフィナンシャル・タイムズの記者が「米国務省には統一見解はあるかないか」と、米国務省の官員にインタビューしたところ、その官員は「このような計画はない」と答えました。米国務省内部で意見一致してないと判断した記者は、北京五輪へのボイコットと関連している同盟国に取材したところ、同国の官員は「このことについて確かに話し合ったことがあり、米国のバイデン政権が先に提案したが、詳しくは検討してない」と答えたのです。イギリスの記者の取材を受けた米国官員と同盟国の官員は、みんな名前を公開したくないと言ったので、北京五輪へのボイコットについて、みんな慎重に考えているのではないかと思います。これは現在私が知っている北京五輪へのボイコットについての現状です。こんな状態で、日本の鳩山元首相がツイッターで米国と同盟国の北京五輪への共同ボイコットについての言論を発表したのです。

 こらから、鳩山さんのツイッター内容について読解します。鳩山さんのツイッターの内容は四つあります。第一番目は、「米国がウィグルにおける中国の人権問題などを理由に北京五輪への不参加を同盟国に呼びかけるという」ですが、これは現状の事実だから、これに対してはいかなるコメントもありません。第二番目は、「世界が憎しみ合っていてもスポーツを通じて平和をもたらそうと言うのが五輪の一つの目的ではないか」ということです。「オリンピック憲章」を調べてみましたが、確かに「平和」の単語が3回も出てきました。しかし、鳩山さんの話は、「オリンピック憲章」の原文ではないので、鳩山さん個人の理解ではないかと思います。問題はどのように「スポーツを通じて平和をもたらす」のでしょうか、オリンピックを行うだけで平和になるのでしょうか。「オリンピック憲章」には、「またその目的は、人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の確立を奨励することにある」という言葉があります。この言葉についての私の理解は、「スポーツを通じて平和をもたらす」ということは、オリンピックを行う自体だけではなく、オリンピック大会が平和に行われるかどうかではなく、オリンピック大会に参加する選手や関係者、関係国だけではなく、最も重要なのは、オリンピックを通じて、「人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の確立」することではないかと思います。

 現在中国では新疆ウイグル人と香港だけではなく、チベット人、モンゴル人、いろんな宗教と信仰団体、キリスト教や法輪功団体、そのほかまた人権弁護士、良心記者、民主主義運動家などに対する迫害、臓器狩りなどいろんな社会問題が存在しており、政府に不満を持つ民衆の団体抗議活動が毎日のほど行われ、同時にこれらの団体が政府に弾圧されています。一言で言えば、中国は「人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会」ではないです。中国のこの状態をオリンピックを通じて変えるべきではないでしょうか。どのように変えるのでしょうか。中国でオリンピック大会が平和に行われるだけで変えられるでしょうか。選手たちが楽しみ、金メダルを取って、自国の国旗が揚げられるだけで変えられるのでしょうか。不可能でしょう。

 2008年北京でオリピック大会が平和的に行われたことがありますが、その後、中国の人権問題を始め、いろんな社会問題は解決できたのでしょうか。できてないでしょう、見ればわからないでしょうか。来年の冬季五輪後、中国は「人間の尊厳を保つ社会」になると保証できますか。できないでしょう。どうすればよいでしょうか。オリンピックが行われる前に、「オリンピック憲章」に基づいて、現状を変えて、「人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会」を作るように、中国政府に圧力をかけなければならないでしょう。人間の尊厳を保たない国は、オリンピック大会を行う資格がないであることを、全世界の各国が明らかに表明しなければならないです。このような国で行われるオリンピック大会に参加してはいけないです。だから、アメリカとその同盟国が北京冬季五輪を共同ボイコットすることは非常に正しいことだと私は思います。私は北京五輪へのボイコットに賛成します。

 第三番目は、「五輪の政治利用はすべきでない」ということですが、これは政治家ではなく、政治屋が話している言葉のように聞こえます。政治とは何ですか。文字通りに、政策で治めることではないでしょうか。これは政治の本来の意味ではないかと思います。だから、五輪を運営する人は、各国の政治を考えなければならなく、五輪と政治は別々にして考えることはできないでしょう。もちろん、政治を個人の利益を満足させる手段として使う人もいますが、これらの人は政治家ではなく、政治屋だと私は言います。中国の政治は日本と違います。中国の政治は共産党の特権です。共産党以外の人には政治に参与する権力はありません。国民に政治に参与させるか、参与させないかは共産党が決めます。例えば、「文化大革命」の時期には、すべての人が政治に参与しなければなりませんでしたが、1989年の天安門虐殺事件後には、国民は政治に参与してはいかなかったです。学生運動を弾圧する理由の一つが、学生が国の政治に参与することでした。

 この番組の冒頭で私が、鳩山元首相に関する記事のタイトルを見て、「これは中共の戦狼報道官の言い方に似ている」と感じたと言ったのは、タイトルに「五輪の政治利用すべきでない」という言葉があるからです。私は鳩山さんが戦狼外交をすると言っているのではなく、鳩山さんの話が間違っているとも言ってありません。私が言いたいのは、「五輪の政治利用すべきでない」という話を、アメリカに向かって話すのではなく、中共に向かった話すべきだということです。中共はとっくにオリンピック、スポーツ、体育を政治として利用しています。詳しく話すと内容が長くなりますので、今後、時間があれば、中共はどのようにオリンピックを政治手段として利用するのかについて話します。

(李真実チャンネルより転載)