(イメージ:Wikimedia Foundation CC BY-SA 3.0

 最近、「浙江省行政ネットサービス」は、浙江の男性が「ファイアウォールを突破する」ツールを使用してウィキペディアを閲覧したために、警察に逮捕されたと発表したスクリーンショットがネットで流れている。

 「浙江省行政ネットサービス」は、「張韬」という名前のネットユーザーが、2019年前半から2020年10月まで、LANTERNというソフトをインストールした上、何度も利用してファイアウォールを突破し、ウィキペディを検索したとして、罰則すると発表した。

 警察は、張韬が海外のウェブサイトを閲覧するという行為は、「許可なく国際ネットワークにアクセスして使用すること」に該当するため、法律に従ってその場で警告処分し、国際ネットワークへのアクセスを直ちに停止するよう命じた。

 同事件が出た後、すぐにオンラインで広まった。フランスのコメンテーター、王龍蒙氏はラジオ・フリー・アジアに、「このケースにおいて警察はファイアウォールを突破した市民の場所を特定できたことは、中国共産党政権が『1984』モードで国民を監視し管理していることを示している」と述べた。

 王龍蒙は「ファイアフォールを突破することが犯罪になったとき、中国本土は真に『壁の国』になる。中国統治者は、高いネットの壁を利用して情報の自由を遮断し、国のプロパガンダで壁内の市民を完全に洗脳し、14億もの人の独立した思考や判断を無くして、その統治力を強化してきた」と語った。

 しかし一方で、中国の一般の人々が海外のウェブサイトを利用することが禁止されているが、中国の役人と公式メディアはいつでも国際のサイトをアクセスまたは投稿できることが明らかになった。

 北京人権弁護士の劉暁源氏は「中国共産党のプロパガンダである新華社、環球時報、中国外務省のスポークスパーソンや外交官などは、中国に禁止された海外ソーシャルメディアに口座を開設できるが、一般の中国人は海外のサイトを閲覧することすらできない。さらに『ファイアフォールを突破した』として罰せられ、処刑される」と指摘した。

 カリフォルニアを拠点とする「チャイナデジタル時代」は、これまで、浙江省政府ネットサービスのウェブサイトに掲載された「ファイアウォールを突破した」ことに対する処罰の事例を数えたところ、1年間で浙江省で70件近くあった。

 同事件によって引き起こされた論争が続いたため、浙江省政府ネットサービスは10月29日に同発表を削除した。ただし、Google検索では、浙江省行政ネットサービスによる発表の記録を見つけることができる。

 これに関連して、浙江サイバースペース事務局の「インターネット報告センター」は、「ファイアウォールを突破して共産党に反対および反社会的コンテンツを閲覧する行為」は違法であると述べている。

(翻訳・北条)