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 武漢肺炎(新型コロナウイルス感染症、COVID-19)の感染拡大が中国北部の青島で再び確認されるなか、新たなウイルスの発生が警戒されている。米ノースカロライナ大学の最新の研究によると、中国の養殖されている豚から「ブタ急性下痢症候群コロナウイルス(Sads-CoV)」と呼ばれる新しいコロナウイルスが発見された。今後、新たな豚の感染病の大流行につながるだけでなく、ヒトに感染する恐れもあるという。

 「米国科学アカデミー紀要」で発表された研究報告によると、ブタ急性下痢症候群(SADS)コロナウイルス(別名「Sads-CoV」)は、2016年に中国広州の豚に初めて感染した。感染した豚は嘔吐と下痢の症状が見られ、5日以内に9割の子豚が死亡したと指摘された。現在、同ウイルスはまだ米国で確認されていないが、専門家はこのウイルスが2019年の新型コロナウイルスのウイルス毒株である「SARS-CoV-2」と共にコウモリに由来し、同じコロナウイルス科に属していると考えている。

 過去の資料を調べてみると、「ブタ急性下痢症候群コロナウイルス」は2002年から2003年にかけて猛威を振るった重症急性呼吸器症候群(SARS)との類似点が多い。発生源は同じく広東省であること、新型のコロナウイルスによるものであること、ヒヨドリコウモリ由来であることなどがあげられる。

 昨年、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の疫学者、免疫学者、微生物学者の14人からなる研究チームが結成され、Sads-CoVウイルスが異種間伝播によりヒトを感染する能力を持っているかどうかを研究した。

 同大学の疫学教授レイチェル・グラハム氏は、初歩的な資料によると、当該ウイルスはヒトの細胞内で自ら複製することができ、ヒトの健康に一定的な脅威があると推定され、「このウイルスは肝臓、腸、呼吸器の細胞を宿主として、ヒト細胞に感染する」と述べた。

 研究者たちは、SADS-CoVウイルスがヒトに感染するかどうかはまだ不明であるが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、動物で発見されたコロナウイルスの多くの毒株が、ヒトに感染する可能性が高いことに警鐘を鳴らしたと指摘した。現在、研究者たちは、ウイルスが養殖場の職員と動物との接触を通じて、ヒトに感染する可能性が高いと考えている。

 報告書は、中国が豚Sads-CoVウイルスの発生を引き続き監視し、ヒトへの感染拡大を防ぐべきだと警告している。

(翻訳・藍彧)