中国のウェイボーブロガーが最近、日雇い労働者らが集まる北京郊外の馬駒橋(マージュチィァォ)を訪れ、現場の労働者とのインタビューをライブ配信しました。現場の若者労働者は、「今は人手が多くて仕事が少なくなり、以前よりも仕事を見つけるのが難しくなっている。以前は3日間働いて2日休みだったが、今は10日間のうち、1日だけ仕事して、他の9日間は仕事がない状況だ」と述べました。

出稼ぎ労働者の惨状「馬駒橋での厳しい現実」

 出稼ぎ労働者の街・馬駒橋では、まだ薄暗い朝の5時には数百人の農村出身の出稼ぎ労働者「農民工」が集まります。労働者の差配業者が声を上げながら、「広場の花植え、8時間で200元(約4000円)。男の人はいないか?」「道路の水まき、150元(約3000円)!」などと仕事を募ります。時折、労働者を詰め込んだミニバンが走り去っていきます。

 一人の出稼ぎ労働者は次のように述べました。「荷役労働という仕事でも、1日12時間働いてもわずか160元(約3000円)しか報酬を得られないが、多くの人がその仕事を争う」「この仕事では1人で3人分の仕事をこなさなければならない厳しい状況だ」「この市場では、あなたを人間として扱うが、実際の仕事現場では機械のように使われる。水を飲む時間さえなくて、トイレに行く時間も制限される。この市場で仕事があっても、1日出勤すれば最低3日は寝に戻らなければならないが、それでも応募者は絶えない」「手元にお金がなくなったら、ただ1杯のどんぶりをくれるならついていく」「40歳以上の人は仕事を見つけるのが非常に難しくなっている。20代の若者がここで長期間働くと、40歳になる前に体は70、80歳以上の高齢者よりも悲惨な状態になってしまうのだ」

 多くの労働者は、冬になるとベッド1つを借りて寝ているが、気候が暖かくなってきた今では、夜間は路上で寝ています。その結果、馬駒橋周辺のベッドの価格が下落しています。現在、二段ベッドの上段でも15元(約300円)、下段でも20元(約400円)で泊まる人はいません。昼間より夜の方が路上にいる人が多くなっています。時には1日1食しか食べず、夜は路上で寝てしまう人もいます。去年、馬駒橋では路上で凍死した人もいました。また、ビルから飛び降りる人や川に飛び込んだ人も見られました。

高い失業率がもたらす影響「中国の現状」

 中国国家統計局のデータによると、5月の全国都市調査における失業率は5.2%で、前月と変わりませんでした。16〜24歳と25〜59歳の失業率はそれぞれ20.8%と4.1%でした。

 しかし、この統計データは、公式の基準では週に1時間働いていれば雇用されたとみなされるため、実際の状況とはかけ離れています。最近、中国人の生計が困難であることを示す多くの話題が注目を集めています。

 例えば、今年の3月には、DiDi(ディディ)のアクティブドライバー数が1900万人に増加し、2021年の3月に比べて600万人も増えました。しかし同時に、オンライン配車サービスの利用者数は減少しており、2022年の利用者数は2021年より約1600万人も減少しています。
香港メディア「香港01(ほんこんぜろいち)」は、オンライン配車ドライバーは元々、ハードルが低く、時間を要し、社会保障もない厳しい仕事であったが、現在は全体的な利用者数が明らかに大幅減少する一方、数百万人が参入していると指摘しました。これは全体的な雇用状況の深刻さを反映しています。経済が苦しくなると、優れた仕事の機会が減少し、多くの人が下位の仕事を求めて競合することになります。その結果、一般労働の仕事が圧迫され、さらに下位の仕事に追い込まれるという悪循環が生じます。これは人材の浪費となっています。

学者の分析、若者の失業問題と「卖崽青蛙」

 中国の作家余華氏は最近、中国の文学雑誌『当代』が今年6人の編集者を募集したところ、なんと6000人が応募し、しかも全員が修士号または博士号を持っていることに驚きを示しました。しかし、この仕事は20年前には誰も見向きもしなかったのです。余華氏は、親が一生懸命に働いて彼らを大学生に育て上げた結果、多くの若者が中卒の資格しか必要としない仕事に就くかもしれない苦境にある若者たちを理解できると述べました。

 国立政治大学東亜研究所所長の王信賢教授が執筆した報告書によると、最近では着ぐるみカエル「卖崽青蛙(意味:子蛙を売る)」が中国の主要都市で人気を集めています。緑色のカエルの着ぐるみを着た若者たちが、カエルの形をした風船を街頭で販売しています。そのユーモラスな姿はまさに都市の笑いの種となっていますが、流動的な露天商の性質ゆえに、「城管(都市管理職員)」の追い払いからは逃れられません。

 報告書は、カエルの着ぐるみを着ているのはほとんどの人が失業中か、仕事帰りにアルバイトをしている若者であることから、現在の経済不況と若者の失業問題の深刻さを示していると分析しました。

若者失業の重要性と劉元春氏の分析

 「香港01」は、失業者の中でも若者は重要な存在であると述べています。彼らは活力にあふれ、後顧の憂いが少なく、衝動的で反抗的な特徴を持っているため、大量の若者が失業状態に置かれ続けると、貯蓄が底をつき、家族の支援ができなくなると、彼らの不満や怒りがしばしば社会の安定に影響を及ぼす可能性があります。

 ブルームバーグ7月3日の報道によると、中国の有名な経済学者で、中国マクロ経済フォーラムの共同創設者である劉元春氏は、先月の中国マクロ経済フォーラムで発表された2023年中期の中国マクロ経済分析と予測の報告書で、2023年の大学卒業生の数が1100万人を超えることを考慮すると、今年の第3四半期における若者の失業問題はより深刻になると指摘しました。

 報告書は特に、去年の4月における中国の16から24歳の若者の失業率がわずか18.2%だったのに対し、今年同期には2.2ポイントも跳ね上がり、若者の失業問題が単なる周期的な問題ではなく、システム的で傾向性のある問題であることを示していると指摘しました。報告書は、若年失業問題は今後10年間続く可能性が高く、短期的にはますます深刻化すると予測しています。適切に対処されない場合、これは経済領域以外の他の社会問題を引き起こし、さらには政治問題の火種となる可能性があります。

 報告書は、若者の雇用問題を解決するためには、新たな雇用機会を創出することが重要であり、そのためには新しい市場主体の創出が必要です。それは主に生産性の高い投資、特に民間の生産性の高い投資に依存していると指摘しています。

 しかし、ウォール・ストリート・ジャーナル7月3日の記事によると、中国の企業が投資するコストは6月において、2016年以来の最低水準を記録しました。これは「財新メディア」と調査会社Markit(マークイット)が発表したデータを引用して報じられたものです。

 劉元春氏は報告書の中で、単に補助金政策を採用するだけでは民間投資不足の問題を根本的に解決することはできないと指摘しました。劉氏は、「重要なのはやはり、法治建設(法に基づく国家統治)の改善と私有財産権の健全な保護だ。新型コロナウイルス流行以来、人々の法治建設に対する信頼が揺らいでいる状況を修復する必要がある」と述べました。

(翻訳・藍彧)