トランプ米大統領(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 トランプ大統領は12月1日(火)、国会が来年度の『国防権限法』の中の第230条を廃止しない場合、同法案を否決すると表明した。彼は、第230条を盾にインターネット企業が言論検閲を実施し、法的責任を負わずに取り締まるための保護傘となっており、国家安全保障と総選挙の誠実と信用に深刻な脅威をもたらしていると指摘した。

 トランプ氏は12月1日深夜にツイートし、来年度の『国防権限法』の第230条に終止符を打つことを国会に強く求めた。

 このツイートは、「230条は米国の『ビッグ・テック』企業への贈り物であり、彼らが責任を回避できる保護傘である(米国のビッグ・テック企業だけがこの特典を享受できるのだ!)。今は私たちの国家の安全保障と選挙の公正さに深刻な脅威を与えている。このまま(230条)存続を許可すれば、わが国は永遠に安全・安定にならない」と指摘した。

 トランプ氏はまた、「したがって、『国防権限法』の一環として、非常に危険で不公平な第230条を完全に打ち切ることができない場合、私はこの法案が私の机に送られてきたときに、間違いなく拒否権を行使するしかないだろう。米国を奪回するのは今だ。ありがとうございます」と書いた。

 トランプ氏は11月27日にも、米国の国家安全保障のために230条を直ちに終了させなければならないとツイートしていた。

 米『国防権限法』は毎年更新され、米軍の軍事費の予算は法案の核心の一つとなっている。法案は国会で承認されるが、大統領は最終的な拒否権を持っている。

 230条は、米国における1996年の『通信品位法』の法的規定である。この規定により、インターネットサービスプロバイダー(ソーシャルネットワーキングプラットフォームを含む)は、利用者の発言内容について法的責任を負う必要がない。しかし、同条項は同時にネットサービス業者に、ユーザーが投稿した内容を「善意的な」検閲する権限をも与えた。このような「責任」と「権力」が不平等な法律条項が、グーグル、フェイスブック、ツイッターなどのインターネットサービスプロバイダーのスーパー保護傘となり、これらの会社の管理者がソーシャルメディアプラットフォーム上でユーザーの言論を何の責任も負わずに検閲できるようにしている。

 しかし、インターネットプラットフォームの影響力が高まる中で、この法律規定の弊害は日増しに顕著になってきた。今年に入ってから、国会の両党議員が、それぞれの懸念からこの法律規定の改正や廃止を求める声が着実に上がってきている。

 特に今年の米総選挙では、ツイッターやフェイスブックが、トランプ氏をはじめとする保守系ユーザーの言論検閲を露骨に強化したことが明らかになった。これらのオンライン・ソーシャル・プラットフォームの管理者は、トランプ氏や保守派ユーザーの投稿に警告ラベルを貼り、民主党候補のバイデン氏に好ましくないツイートのコンテンツを隠し、保守派ユーザーのアカウントを直接ブロックやキャンセルすることが多い。中国共産党のオオカミ外交官は、何の根拠もなく米軍が武漢肺炎(新型コロナウイルス感染症、COVID-19)の源流だとの不条理な発言、非難に対して、ツイッターの管理者は長い間、何の制限措置や警告措置も取らずに見て見ぬふりをしていた。

 多くの保守派は、フェイスブックやツイッター、グーグルなどがコンテンツを検閲する際、中立的なオンラインプラットフォームではなく、政治的立場を持った「出版社」のような振る舞いをしていると指摘した。 ウェブ企業の管理者側のこの明らかな偏見は、230条を廃止するというトランプ政権の決意をさらに強めている。

(翻訳・藍彧)