イギリス海峡(Timitrius from Great Britain, CC BY-SA 2.0 , via Wikimedia Commons)

 フランス北部カレー沖のイギリス海峡で24日、フランスからイギリスへ密航しようとしていた小型船が転覆し、女性5人と子供1人を含む少なくとも31人が死亡した。イギリスのボリス・ジョンソン首相は、「衝撃的だ」とし、人身売買組織を阻止するためにイギリスはあらゆる手を尽くすと述べた。

 フランス内務省は、漁師からの通報を受け出動した巡視船が、海上で遺体や意識不明の人々を発見したと発表した。

 地元当局によれば、英仏当局はその後生存者を見つけるために、ヘリコプター3機とボート3隻による捜索・救助活動を行った。

 フランス警察によると、小型船はおよそ50人を乗せ、フランス北部の海岸を出航してイギリスに向かったが、沖合で転覆した後、これまでに子どもを含む31人が死亡したと発表した。

 ジョンソン英首相は事故の報告を受け、緊急の特別閣議を招集した。ジョンソン氏は、今回の死亡事故は「災害」であるとし、人身売買組織を取り締まることは極めて重要であり、これらの組織は「事実上の殺人を平然と行っているが、処罰されていない」と述べた。

 ジョンソン首相は、犯罪組織の国境通過を阻止するために、より多くのことを行う必要であると述べた。また、小舟で海峡を渡る移民を阻止するためのこれまでの努力は「十分ではない」と認め、イギリスは2021年から22年の間に、海岸線に沿って警察のパトロールを増やし、空中監視を強化し、港のセキュリティインフラを強化するために、フランスに6,270万ユーロ(約81億円)を拠出することを約束した。

 英内務省は、イギリス人は、冷酷な犯罪組織が彼らの苦しみから利益を得る一方で、英仏海峡で人々が死んでいくのを見たくないと述べた。

 エマニュエル・マクロン仏大統領は、フランスはイギリス海峡を「墓場」にはしないと述べ、責任の所在を明らかにすると宣言した。

 APF通信によると、現地に向かったジェラルド・ダルマナン仏内相はツイッターへの投稿で、この事故で「多数の人々」が亡くなったとし、密航業者を厳しく非難した。

 今回の密航に関連する船の事故としては、2018年以降で最も多い犠牲者数だという。

 フランスとイギリスの間にある海峡は狭いところで幅30キロ程度しかなく、イギリスに向かう密航者が後を絶たない。今年に入ってからは3万人を超え、イギリスはフランスに対して厳しい取り締まりを求めた。

 データによると、2021年以降、フランスからイギリスへ小型ボートで海峡を渡った人は25,700人以上で、2020年全体の8,404人よりも約27,300人多く、2020年の3倍以上となっている。今月11日には、約1,000人が船で海峡を渡り、1日あたりイギリス海峡を横断した過去最多を記録した。これは数年前の数をはるかに上回っている。しかも、当時、ほとんどの移民が飛行機、フェリー、列車でイギリスに到着したという。

(翻訳・吉原木子)