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 フィンランド人の「失敗教育」は世界的に有名であり、その方法は簡単です。つまり、子供に失敗する経験を与え、失敗に立ち向かう術と勇気を学ばせるのです。現代では多くの人が盲目的に「成功」した人々を見習おうとしますが、失敗をも味わうことの大切さを無視しています。

 洋の東西を問わず「失敗は成功の母」ということわざがあります。失敗に勇敢に立ち向かうことによってのみ、私たちは成長することができます。しかし今日、私たちはすでに失敗することを許さない環境に身を置いています。

「国際失敗デー」

 フィンランドには多くの成功した人物や物事がありますが、彼らはそれを自慢せず、逆に2010年10月13日に「国際失敗デー」を設定しました。この日にフィンランド人は様々な方法で失敗を体験します。そして失敗を体験することでストレスを発散させ、失敗に対する抵抗力をつけていきます。

 「国際失敗デー」は、百年の歴史を誇るフィンランドの有名大学アールト(Aalto)大学の起業家サークルに起源を持っています。最初は大学内だけでしたが、様々な失敗をしては面白く反省するこの行事は多くのネットユーザーから支持され、「失敗をシェアする」ことも人気になりました。

 フィンランド文化教育省国際交流センター所長のPaasi Sahlberg氏は、ほとんどの学校や家族は子供の教育において成功ばかり追い求め、失敗することを許さない、と話しています。しかし、成功と失敗は決して相反するものではなく、相互依存的なものであることを彼らは分かりません。

 スウェーデンの心理学者サミュエル・ウェスト(Samuel West)教授は少し前に「失敗博物館」を設立し、世界的に有名な企業の失敗例を集めました。例えば、コルゲートのビーフラザニア、ハーレー機関車の香水、そしてコカコーラのコーラコーヒーなどの失敗作が紹介されています。

 アールト(Aalto)大学の起業サークル長であるElina Uutelaさんによると、人は多くの場合成功そのものに面白さを感じるのではなく、成功の過程における自身の成長と変化を面白いと感じます。失敗を糧として多くの物事を学ぶという訓練は、まさに現代の子供たちにかけているものです。

試行錯誤

 フィンランドの子供たちは4歳から5歳のときにスキーを始め、そこから失敗とはなにかを学びます。スキーでは転倒することがよくあるため、スキーで最初に学ぶべきことは転倒する練習だとフィンランド人は考えている。インストラクターは生徒の前で転倒する手本を見せ、そして生徒たちに転倒する練習をさせます。

 こうして子供たちは転倒したらすぐに立ち上がることを、身をもって知ることができます。そして人生はスキーと同じようなものであり、転んでもまた起き上がればよいということを知ることができます。

 子供たちが大きくなると、フィンランド人は子供たちにロケットの製作に挑戦させます。材料と仕様は子供たちの裁量に任され、わからない部分があれば学校によって雇われた専門家に相談することができます。

 この過程において大人はただ傍観するだけです。すべての設計は子供自身によって行われ、材料を加工する時に怪我したら絆創膏を貼ってそのまま続けます。設計でうまくいかない時はその都度改善していきます。このような試行錯誤を子供に経験させ、挫折を味わうことによって経験を積ませるのです。

 子供たちが作ったロケットが結局あまり飛ばないのはよくあることです。ですが子供たちはこの過程を通して感情をコントロールすることを学び、コンディションを自ら整えていく術を身に着けます。

 世間には「成功」を切望している人がたくさんいますが、失敗に耐えられる人はほんの一握りしかいません。しかし往々にして成功するのは後者です。「完璧」と「成功」に執着する心を捨て去ることができれば、自分自身と子供のさらなる成長が期待できるかもしれないのです。

(翻訳・柳生和樹)